十脚目通信

オカヤドカリのトンデモ飼育法

オカヤドカリはオカヤドカリの飼い方で。犬や猫と同じ様に扱っては絶対にダメです。

当コンテンツは常設&移動水族館「魚はいません」設立計画の趣意に基づいた飼育コンテンツです。
ペットコンテンツと思われた方には、不快かもしれない表現もございますので、読まないでお帰りになることを、お奨めします(と構えるほど難しいことは書いていませんが)。

トンデモなメニュー

トンデモ1:オカヤドカリを時々お風呂に入れることを奨めます
基本中の基本的なオカヤドカリの飼い方として、オカヤドカリが貝殻ごと水に浸かれる真水の容器と、同じく貝殻ごと浸かれる海水の容器は、飼育ケース内に常に置いておく必要があることは今さら言うまでもないですね。
真水は、あらゆる生き物の生命維持に必要な水分を得るため、またオカヤドカリの様なエラ呼吸の生き物にとっては呼吸のために必ず必要なものです。陸で生活するオカヤドカリも貝殻の中に蓄水しますので、貝殻ごと浸かれる深さが必要です。
海水は、オカヤドカリの様な海産甲殻類にとっては、生命を維持するのに必要なミネラル(無機塩類)を得るために必要です。天然下でのオカヤドカリも、時々、危険を冒して海まで海水を摂取しに行くことがあります。
以上を踏まえた上で、一般に“オカヤドカリを風呂に入れる”というのは、海水浴のことを指すと思われます。
これは、あくまで住宅事情その他の理由によって、上記した“基本中の基本”環境を設置できない方が「応急処置」として行うものであり、別にお薦めでも何でもありません。
できればやらない方が良い部類に入ります。
ストレスに弱いオカヤドカリを、急に海水の中に放り込むのは、別して避けなければなりません。常に飼育ケース内に新鮮な真水と海水を用意し、オカヤドカリが好きなときに自分から浸かれる様にすることが大原則です。
どうしても止むを得ない場合は、ケースを掃除する時に、別のケースにオカヤドカリを移しますが、そこに海水容器を入れておくという処置がありますが、その際も、無理に放り込むのは避けた方が良いです。オカヤドカリが海水を必要と感じていれば、勝手に容器に入っていきます。
補足ですが、水入れをどうしても一つしか置けない場合は、海水容器で両方を兼ねることはできません。海水より濃い比重(1.023以上)の塩水はほとんどの生き物にとって有害であり、オカヤドカリが即死する場合もあります。
また某メーカーから「オカヤドカリ専用」と称する“ミネラルたっぷり”の○○ウォーターとやら言うものが販売されていますが、これについての質問はご容赦願います。笑いすぎて腹が捩れる人が多数いますので(^_^;)

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トンデモ2:オカヤドカリには水分が必要なので、時々霧吹きで湿らせてやります
上記の“基本中の基本”を守っている限りは、オカヤドカリ飼育に霧吹きは全く必要ありません。
冬場は二つの水入れにタップリと水が入っていて、それを下からヒーターで温める訳ですから、むしろ飼育ケース内の(結露による)湿り過ぎに注意しなければならないはずです。
夏場は言わずもがな。北海道を除けば我国の夏場の平均湿度は概ね80%近くありますから。
結論としては、オカヤドカリに多大なストレスを与える「霧吹き」はする必要がありません。むしろ“やってはいけない”ことの一つであると言えます。
生体に直接、霧吹きすると急に元気になることがありますが、これは別に喜んでいるわけではなくパニックをおこしているだけですし、そもそも霧吹きしなければいけないほど乾いた環境で、しかも殻ごと浸かれる水入れもない状態では、オカヤドカリを長生きさせることは難しいでしょう。

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トンデモ3:オカヤドカリの飼育ケースには湿度計を入れ、湿度70%以上で飼う
これは微妙です。確かに湿度70%以下ではオカヤドカリには辛いでしょう。ただ私はオカヤドカリを飼い始めて7年(2007年現在)になりますが、湿度計を使ったことはありません。でも最初に飼ったオカヤドカリは生きています。
これも上記した様に“基本中の基本”を守っていれば、湿度計など見なくとも湿度が70%以上あることは判ります。
むしろ砂が湿りすぎたり、あるいはケース内が蒸れすぎたりするのが問題であって、それを解決するためには湿度計など何個あっても役には立ちません。
また、貝殻ごと浸かれる水入れさえあれば、砂やケース内が多少乾燥していてもオカヤドカリは(貝殻に溜めた水で)充分に呼吸(甲部のエラ呼吸+尾部からの皮膚呼吸の両方とも)できますから、湿度を気にする必要はないでしょう。って、だから乾かすのが大変なんだって(~_~;)

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トンデモ4:オカヤドカリは木登りが好きなので、流木やジャングルジムを入れてやると良い
オカヤドカリは確かに木登りが好きです。ただ流木を入れるのは、それだけが目的ではありません。
木の根の洞にいるオカヤドカリ
オカヤドカリは脱皮の際、木の根元等、重くて大きく周囲の土や砂が崩れにくい場所に潜る習性があります。脱皮の場合以外にも、こうした外敵に見付かりにくく、安全で温度や湿度の変化の少ない(=陽や風が当たりにくい)場所に隠れることを好みます。
つまり、流木を入れるのは木登りのためだけではなく、この習性を満たしてやるためです。
脱皮の前にオカヤドカリがあちこち砂を掘り起こすのも、この習性のためで、水入れ等の重たい容器をひっくり返されて困った経験をお持ちの方もあるかと思います(^_^;)
オカヤドカリを同じケース内に複数飼育している場合は、オカヤドカリの匹数分の“快適な場所”が必要です。それがなければ脱皮時の事故を防ぐことは出来ません。
オカヤドカリの木登りにはできるだけ重いものを入れてやりましょう。登っただけで倒れるようなものを入れるのは、スペースの無駄遣いに過ぎません。

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トンデモ5:流木にカビが生える
オカヤドカリを飼っている方なら、流木の一本や二本は飼育ケースに入れていると思うのですが、たまに「流木にカビがはえた」なんてことを小耳に挟みます。
実は、これが私には信じられません。アクアショップやホームセンターの熱帯魚用品売場で手に入る、何の変哲もない流木。一般に東南アジア産のマングローブの朽木で、養分等が完全に抜け落ち、長期間水中に沈んでいたものが“流木”として売られています。 そう。つまりカビの素になる“栄養分”が抜け落ちた木の抜け殻です。
余程ボッタクリの店でもない限りは300円/本程度で入手できます。自分でアク抜きするのが面倒だという方でも、既に“アク抜き済み”のものが800円/本程度で入手可能です。
中途半端な生木を使用したりすれば別ですが、安価で安易に入手できる流木にカビが生えることは考えられません。もしも生えるとすれば、流木に付着したオカヤドカリの糞や残り餌を取り除かなかった場合ではないでしょうか。 但し、その場合もカビの生えた糞や残り餌を取り除くだけで“流木のカビ”を除くことができます。
たまに流木や砂全体にカビが生えるということを言う方もいますね。
これは、洗った砂を充分に乾かさずに使用する無神経な方(?)や、霧吹き等を頻繁に使用して常に砂を湿らせている神経質な方(?)に見られる傾向です。 水道水は多量の窒素や燐(=カビの栄養分)を含みますので、生えて当然。いやぁ、硫化菌やメタン菌じゃなくて良かった。カビで済んでラッキー(^_^;)

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トンデモ6:カビを食べる(恐怖の?)バクテリア
まさかとは思いますが、硝化バクテリアがカビを除去するとかいう“珍紛漢紛”を本気にしている方はおられませんよね(^_^;)
硝化バクテリアの餌は?窒素と燐!
カビの餌は?窒素と燐!
ま、同じモノを栄養源にしていますので、バクテリアが繁殖してくればカビが消えていくというのは本当で、熱帯魚の水槽なんかでも最初にカビが生えて、段々とバクテリアが増えて行くにしたがってカビが消えるということが、立ち上げ初期段階に見られることがあります(通常は照明を使用しますので、カビよりも藻が生えます)。
一般に硝化菌と言われる、生物飼育に有用なバクテリアは、カビ等に比べて非常に増殖スピードが遅く、ニトロソモナス属(アンモニアを亜硝酸に)が24時間に1回。ニトロバクター属(亜硝酸を硝酸に)が48時間に1回増殖すると言われています。
ですから、カビが生えても放っておけば、次第に「バクテリアがカビを除去」した様に見える状態になる可能性はあります。そうですね。カビが生えた状態で2、3ヶ月も我慢しておけば(~_~;)
ただ、硝化菌は非常な酸素喰いですから、砂の表面だけの話しですよ。こんな状態で放っておけば、数センチ下の砂の中には硫化菌が大繁殖して、とんでもないことになっているでしょうね(TOT)
ところで、最近は便利な世の中になった様で、オカヤドカリの飼育ケースに“カビが生える”等という有り得ない様なことを仕出かしてしまっても、○○○ウォーターとやら言う“魔法の水”がカビを除去してくれるそうで・・・って、ホンマかいな(-。-;)
何事にしても手抜きで楽をしたいという消費者は、ええカモでんなぁ。誰が流したかしらんけど、成り済ましや珍説の流布はECサイト運営のお手本でっさかいになぁ。
ちなみに、これらの何やらウォーターのメーカー各社は、どこも特に“カビの除去”を謳ってはいません。水ピカピカとか魚イキイキとか曖昧な表現に止めている節度ある(?)メーカーがほとんどです(^_^;)
本当にカビが消えたとすれば、私ならカビだけではなくバクテリアも、場合によっては(魚に比べれば遥かに)敏感なオカヤドカリにも有害な抗菌物質の含有を疑いますがねぇ(実際に昔、魚がイキイキかどうかは別にして水ピカピカを謳う商品があって、確かに水の透明度は増した様に見えるけど無脊椎が全滅したという“魔法の水”が売られていたことがあります)。

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トンデモ7:あなたはドライ派?ウェット派?
ドライとかウェットというのは砂のことです。
オカヤドカリという海産甲殻類は、エラ呼吸しますから、カラカラに乾いた環境では窒息死します。エアコンの効いたショップ等で密閉度の低い容器に入れられ、飲み水さえなく、照明を煌々と照らされドライアップしているオカヤドカリを見たことのある方も多いでしょう。そこから来ているのかどうかは判りませんが、オカヤドカリ飼育の砂は湿っている方が良いという概念が確かにあります。
しかし、基本中の基本環境で飼っている限りは、砂など湿っていても乾いていても、空気が完全に乾くことはありませんし、砂が乾くと言ってもカラカラになることもありません。むしろ砂がベチャベチャに湿っている方が問題が多いです。
砂がベチャベチャだと、(湿地に棲む種を除いて)オカヤドカリは嫌がって、流木等の上の方に固まります。25℃前後というのは雑菌や腐敗菌も繁殖しやすい温度ですから、オカヤドカリの健康にも良くないでしょう。一番の問題は、脱皮のために砂に潜り、そこで窒息死(あるいは硫化水素中毒死)してしまうことです。
エラ呼吸の生き物が、水の中で窒息するのを不思議に思う方もいるかもしれませんが、エラ呼吸とは水の中に溶解している酸素を呼吸している訳です。砂の中の止水、しかも汚水には酸素はほとんど含まれていません。
古くからオカヤドカリを飼っている人の場合、大抵の悩みは砂が湿りすぎることで、それをいかに乾かすかという議論を、昔はよくやったものです。なかなか難しいんですよ。
ところで、砂がカラカラだと、オカヤドカリは脱皮の時に砂に潜ることが出来ません。適度に湿った砂でないと脱皮室が崩れてしまいます。結果、他の個体に襲われたり、脱皮不全の危険を冒して、砂上脱皮せざるを得ないことになります。
よってベターは砂の表面がしっとり湿っている感じではないでしょうか(横幅3mぐらいの水槽が用意できる方なら、もっとベストな飼い方が出来ますが)。
それをどう実現するかは、それこそ“人それぞれ”ですので、頑張って試行錯誤してください。ケースや砂の量や種類、ヒーターの設置場所、季節によっても区々なので、ここに書くことは不可能です(どうしても問題があるならご質問ください。アドバイスぐらいならできるかもしれません)。
いずれにしても「私はウェット派だ」と主張している人、つまり砂を無理に湿らせている人を、私は見たことがありません。何故か「ウェット派が主流の様だがドライで複数年飼育している」ことを主張する方はよく目にしますが、どの程度を“ドライ”と呼ぶのか、よく解りません。

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トンデモ8:砂中脱皮型か砂上脱皮隔離型か
飼育下でのオカヤドカリの脱皮について、「砂の中でゆっくりと脱皮させるか、砂上で脱皮させペットボトル等で(他の個体に干渉されない様に)隔離するかのどちらかだ」というトンデモ飼育法を目にすることがあります。中には「砂上脱皮の方が素早く脱皮が済むので、隔離さえしていれば安全な方法だ」と推奨する向きまでおられます。
が、砂上脱皮+隔離というのは、あくまでもオカヤドカリ飼育に慣れない初心者が、やむをえず砂上で脱皮させてしまった場合の応急対処法であって、選べる飼育法(人それぞれとか(^_^;))の1チョイスではありません。
エビ・カニ・ヤドカリ等の甲殻類にとって脱皮は命懸けです。
脱皮前は動きが鈍りますし、脱皮中は動けないばかりでなく、ちょとした刺激や環境の変化で脱皮不全に陥りますし、脱皮後数時間〜数日は、所謂ソフトシェルクラブの状態で、外敵ばかりではなく仲間から見ても「美味そうな餌」でしかありません。
海中に棲むエビ・カニ・ヤドカリの場合は、ギリギリまで我慢して一気に脱ぎ、脱いだ後は素早く逃げたり隠れたりできる様な脱皮方法を採ります。それでも脱皮不全を起こしたり、脱皮直後に襲われて死んでいる個体を、磯で頻繁に目にします。
オカヤドカリは、タコやイカ、魚といった強力な天敵から逃れるために“陸棲”という戦法を採った訳ですが、上記のエビ・カニ・ヤドカリよりも不自由になったこともあります。脱皮前後に直接海から必須ミネラルを吸収できなくなったこともその一つです。
よって、オカヤドカリは外骨格に充分なミネラルを蓄積しておかなければならなくなりました。その所為で(つまり外殻が分厚いので)脱皮には余計に時間が掛かる上、脱皮後に自分の抜け殻を食べるという行為も必要なのです。
必ずしも、天然下でのオカヤドカリが砂に潜って脱皮するという訳ではありません。外敵から身を守れそうな場所で、温度や湿度の急変のない場所(木の洞や石の隙間)であれば脱皮場所に選ぶこともあります。
しかし、外敵や仲間がウヨウヨいるオープンな場所で“素早く脱ぐ”ということは、まずありません。
ただでさえ、ちょっとしたことで失敗しやすい脱皮ですから、遺伝子にさえ記憶されていない方法を強要すれば、当然致死の可能性は高くなるということを、知っておいてください。

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トンデモ9:オカヤドカリ飼育には「オカヤドカリの砂」が一番!?
ま、「オカヤドカリの砂」全般と言うよりは「ヤドカリの砂(オカヤドカリ専用)」とか書かれている商品が特に大概ですけどね(^_^;)
何が“大概”なのか書くとまた、「業者批判だ!」とか騒ぎ立てる向きがいるので、ここでは書きたくないんだけど、ちょっとだけ書こうかな? 要するに、アクアリウムで使えそうな小豆大の珊瑚砂(多孔質でほど良く水流が通る)ではなく、ベルリンで使うライブサンド(パウダータイプの珊瑚砂の場合が多い)でもない、使い物にならない“クズ珊瑚”なので、せいぜい「オカヤドカリ飼育ぐらいにしか使えない」という意味の「オカヤドカリ専用」なんだと思うんだけど、私に言わせれば「オカヤドカリに使うにもちょっと難あり」ではないかなぁ…。

ちょっとと言いながら前置きが長くなりました(^_^;)
ここで言いたい「オカヤドカリの砂」とは、珊瑚砂の粒の大きさではありません。天然下でのオカヤドカリは別にサンゴ砂の上に棲んでいる訳ではないということです。
大抵は、こんな場所にいます。 空にとけそうな青い海。どこまでも続く白い砂浜。その上を歩くオカヤドカリ。ってなのを想像している方には悪いんですが、実はそのオカヤドカリはたまたまそこを、止むを得ず通りかかっただけで、普段は割と地味なところに棲んでるんですよ。アダンの林とか、海岸の近くの森とか、地面は汚い色の粘土だったり、赤土だったり、照葉樹の葉やゴミが散乱した腐葉土の様な黒い土の場合もあります。
珊瑚砂がオカヤドカリ飼育に向いている点は、ただ一つ。洗う場合などに軽くて扱いやすいからです。それだけです。
アクアリウムの教科書には「珊瑚砂は飼育水をアルカリ性に保つ」等と書いてあるのも見掛けますが、アルカリ性に保つは言い過ぎとしても、確かに「ひたすら酸性に偏っていくのを防ぐ」役割はあります。多孔質の珊瑚砂の表面でバクテリアが酸化活動を行い(その結果生じた硝酸が珊瑚の主成分である炭酸カルシウムを解かし)、飼育水が酸性になるのを防ぐからですが、炭酸カルシウムは水に難溶性だというのは小学校で習いましたよね。
つまり、アクアリウムではないオカヤドカリの飼育においては、この“珊瑚砂の利点”を享受することはできません。最大の利点である「バクテリアがアンモニアを分解する」点も、アクアリウムではないオカヤドカリの飼育においては他の砂を使うのと大差ありません。
また、珊瑚砂は(これも多孔質だからですが)塩素等の有害物質を吸着するという利点もあります。が、これもアクアリウムでの利点に過ぎません。時々砂を取りだして洗うのが基本のオカヤドカリ飼育の場合、むしろ欠点になります。
ちょっとやそっと洗ったぐらいでは珊瑚砂が吸着した汚れや塩素は分離しないからです。ま、気にするほど吸着することもないとは思いますけどね(^_^;)
ちなみに我家にはオカヤドカリ飼育ケースが二つあり、一つは珊瑚砂を深さ20センチほど。一つは海砂(主に珪砂)を深さ20センチほど入れています。どちらも数年使っていますが、特に問題もなければ“どちらかが優れている”ということもありません。ちゃんとオカヤドカリは潜って脱皮しますし、砂の上を歩くのを嫌がることもありませんし、齧って栄養源にする(爆)ということもありません。
一つだけ言うと、珊瑚砂は有料(200円/kg)でしたが海砂はタダでした(^_^;)

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トンデモ10:オカヤドカリ飼育の必需品「ガジュマル」
最近のネット系オカヤドカリ販売Siteでは、ガジュマルが“飼育用品”の中にインクルードされてしまっていたりして、「ガジュマル=オカヤドカリ飼育の必需品」の様に勘違いされている向きもおられるかと…。 中には必死で探した挙句、そこらで200円とか300円とか、そんなレベルで売られている様なガジュマルを「オカヤドカリ専用ガジュマル」として高価で購入させられる消費者もある様です(爆)
ま、入れたいヤツは入れりゃ良いし、騙されたいヤツは騙されときゃ良い訳でして、何か言うとすぐに「人それぞれ」とか怒って嫌がらせする連中がいるんで放っときたいところなんですけどね(^_^;)
なので、別に「ガジュマルは必需品ではない」、しかも飼育用品として使うには「デメリットの方が多い」ということだけを客観的に記しておきます。
デメリット1:オカヤドカリ脱走のための足場をわざわざ入れることもないんじゃないの?
飼育ケース内にガジュマルを入れるなら、かなり高さのあるケースが必要ですし、植物は上に伸びていくので、定期的に剪定でもしない限りはフタができません。
デメリット2:とは言え、伸びる前に葉っぱ食べられちゃいますけど!
葉っぱだけじゃなくて枝も幹も食べられちゃいますね。枯れたらまた入れれば良いんだろうけど、それなら最初っから外に植えといて時々、枝や葉っぱを入れてやれば良いんじゃないですかね?
デメリット3:基本的にオカヤドカリの飼育環境と植物の栽培環境は違う
言わずもがなですけど。オカヤドカリを飼いやすく管理もしやすい環境は、植物を植えて管理する環境には向きません。根が伸びれば砂を洗いにくくなりますし、オカヤドカリが脱皮のために潜ることを阻害します。そもそもオカヤドカリは木の根元等を掘り返すのが好きなので、ガジュマルの根が伸びるまで放っておいてはくれません。
ハイドロコーンにガジュマルを植えて、容器ごと砂の中に埋め込むとか、未だにそういうことを勧める方がいますが、絶対にオカヤドカリが入り込まない様な工夫を講じなければ、オカヤドカリを溺死させてしまうというのは有名な話しです。

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トンデモ11:オカヤドカリ飼育に役立つ「ガジュマル」
何ガジュマルかは知らない前項で、ガジュマルを飼育ケース内に植えるのはデメリットの方が多いと述べましたが、それでも植えたい方はご自由に。私もね、実は植えようと思ったことがあるんですよ。ガジュマルではなかったですが植物を。ヒルギ系とかパキラとか。理由は手抜きのためでして(^_^;)
オカヤドカリ飼育で一番面倒なのは砂洗いだと思うんですが(と言うか他に面倒なことは何もないから)、淡水熱帯魚飼育みたいに植物を植えておけばある程度掃除の手間が減るかと、ありがちな…。
もちろんオカヤドカリの糞とか食べ残しだとか、アンモニアを直接植物が吸着したり除去したりはできないので、砂に通気性の良い部分を作ってバクテリアが湧く様にして、根腐れも防止してと、それはもう涙ぐましい努力の末、ちょうど大きさも手ごろなパキラを入手し植えました。3日で枯れました(j_j)
要するに、こんな面倒くさいことして効果も何もないんなら、最初っから砂を定期的に取りだして洗うわい!と、気付いたのは7年前(2007年5月現在)でした。
同じ頃、ガジュマルならオカヤドカリの餌になるので、ケース内に植えるのは問題アリとしても入手して植木鉢に植えておく分には有用かも!と、今みたいにホームセンターでも花屋さんでも、普通に売っている様なものではなかったので、探しに探して購入しました。写真のヤツ(7年経ってもあまり伸びてない)ですが、結構高かったです。
で、時々、葉っぱを千切ってオカヤドカリの飼育ケースに入れてやるのですが、確かに食い付きは良いです。ニンジンやリンゴほどではないですが、5匹で葉っぱ半分ぐらいは食べます。無きゃ無いで全く問題ない程度には有用かもしれません。
ところで、ガジュマルと一口に言っても実は色々ある様で、ニンジンガジュマルだとか植え方によって形に違いが出たものを人間が勝手に名前付けている様なのじゃなくて、肉厚な葉っぱのものと薄いのがありまして、昨年辺り入手したガジュマルはこの肉薄葉のガジュマルなんですが、我家のオカヤドカリは全く見向きもしません。
この違いが我家のオカヤドカリだけのものなのか、それとも何処でもそうなのか、私が最近入手したガジュマルが偽物だったりして(^_^;)
いずれにしてもガジュマルは必需品でもなければ、特に有用なものでもありません。無きゃ無いで一向に困らないので、探すにしても落ち着いて探した方が良いですよ。

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トンデモ12:2、3週間に一度は砂洗い?
マリンアクアリストの間では古くから有名な言葉なんですけど、「やたら水換えさせたがるショップは信用するな」というの。
淡水のアクアリウムの場合には、水草の栄養となる無機塩類・有機塩類補給のために頻繁に少量ずつ水換え(水道水は両者を豊富に含むので)という手法があるのですが、海水の場合にそれをやってしまうといつまで経っても水質が安定しない。つまりマリンアクアで水換えを勧めるショップというのは、元々淡水専門だったのが、俄な海水魚ブームに参入したものの、新たに勉強しようという気もない固陋なショップだという笑い話です。
ただ実際には、もっと酷いケースもあります。風が吹けば桶屋が儲かる式の、やたらと過密飼育やスモールケースでの飼育を勧め(それ専用の飼育セットとやらの特設コーナーまで用意したり)、更に頻繁な水換えを強要するショップが実在するのです。
過密飼育の結果、魚は当然体調を崩します。水換えも頻繁に行う必要が生じ、放っとけば治る様な病気でさえ悪化します。こうなると飼育者は地獄です。次々と魚が死に、死んだら死んだで「安い魚はダメ」と高い魚を勧められ、更に「高い魚を落としては」ということで水換えの頻度が上がります。
一方、この手の悪質なショップから見れば、この駄地獄の飼育者は“良いカモ”です。魚は次々と買ってくれる。人工海水も次々と買ってくれる。段々と手懐けて、今度は効き目のない高い薬を売りつけ、次第にエスカレートし、超高価な器材まで次々と購入させます(この時点で最初に買った飼育セットとやらはホコリ被って忘れられていたり・・・)。
悪質なショップとしては、この騙されている顧客はお得意さんなので、物凄く大事にします。客側は騙されているなどとは夢にも思わず「自分はベテラン飼育者だ」ぐらいに考え、「親切なショップ」としてWeb他で紹介し、あろうことか初心者に間違ったアドバイスまでします(最初はお手軽に飼育セットで充分ですよ!←ウソつけ!)。
これは全て実話ですよ。この手の悪質ショップをスポンサーとする提灯雑誌まで存在し、○○ヅラ下げた一般飼育者が顔写真付きで持ち上げられています。
おっと、また例によって話しがズレてますね(^_^;)
実は、オカヤドカリ流通業界も、最近ではこのマリンアクアリウム商法の悪質な手口を踏襲しつつあります。上記した提灯雑誌とそっくり同じ仕様の飼育専門書なるものも発売されたそうで。確か出版社も例によっていつものところの様で。
で、実際のオカヤドカリの砂の掃除頻度ですが、まずベテラン飼育者なら半年に一度というのが普通です。これは常識とか飼育方法とか言う様なものではなく、物理的にこのぐらいの頻度でしか無理だし、しかもこれより頻繁に砂を洗う必要もないからです。
考えてもみてください。単独飼育ならともかく、普通に飼育している場合は3〜5匹程度を同じケース内で飼育していると思うのですが、こいつらが皆同じ時期に一斉に脱皮潜りに入り、同時に出て来てくれるということはまずありません。
脱皮のために潜ったオカヤドカリは短くて1ヶ月。長い時には3ヶ月ぐらい潜っていることがあります。必然的に、どれかの個体が砂に潜っているという期間がほとんどです。全員が砂の上におり、尚且つ飼育者が砂洗いという面倒な作業ができるぐらい閑な時に、それが重なるというのは年に一度か二度あるかないかです。脱皮前後の飼育環境の急変は厳禁ということまで考慮に入れると、私の場合などは2年に一度ぐらいしかありません(そう言えばもう2年砂掃除してないな)。
2、3週間毎に砂掃除などしていては、飼主も飼われる側のオカヤドカリもたまったものではありません。その程度の期間で砂が著しく汚れたり、あるいは気になるほど臭うとすれば、それは既にして飼育方法を間違えています。
考えてみれば、この“2、3週間に一度の砂洗い”というデマを流した業者のやり方は、頭の良いやり方です。このスパンで砂を洗わないといけないということになれば、オカヤドカリ飼育に最適とされる、200円/キロ程度の細かい珊瑚砂や、そこらの海で拾ってこられる様な珪砂では、飼主はとても対応できません。そうなれば業者が推奨する使い物にならない粗目の珊瑚砂が売れることになりますし、オカヤドカリ長期飼育に向く“砂中脱皮”がむしろ難しくなりますから、砂上脱皮させる様に仕向けることも出来ます。
「小まめなメンテナンスをしてあげてください」の美名のもと、本来は捨てるぐらいしかなかった“使い物にならない珊瑚砂”は売れる。飼い始めたら10年、20年と生きる生き物を短期間で死なせてしまう飼主が続出し、需要が止まらない。
セコイやり方ですが、本当に頭の良いやり方です。

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トンデモ13:砂に潜ったまま出てこない場合は掘り返す
これも非常に不思議な話しでして。オカヤドカリ飼育がもっともっとマイナーな趣味であった頃には考えられない様な「そろそろ掘り返した方が良いでしょうか?」という質問を、時たま目にする様になりました。
オカヤドカリが砂に潜ったまま出てこない。恐らく脱皮だと思うのだけど、ひょっとすると砂の中で死んでいるかもしれない。脱皮だとするとどの程度で出てくるのでしょうか?と、不安な気持ちは解ります。しかし脱皮中、あるいは脱皮前後、また残念ながら砂の中で脱皮に失敗して死んでいたとしても、掘り返して何かメリットがあるのでしょうか?
砂に潜って出てこないオカヤドカリ。例えばそれが脱皮前だとしましょう。その時に砂を掘り起こしてしまえば、オカヤドカリは脱皮を止めてしまいます。不安が払拭されるまでおいそれと脱皮モードには入れませんから、またあちこち砂を掘り起こし、最悪の場合には死んでしまいます。
例えば、脱皮の最中だとしましょう。脱皮の最中にはオカヤドカリは外皮の中でドロドロに溶けた状態ですが、これを掘り起こせば死ぬのは当然。
例えば、脱皮直後だとしましょう。まだ充分に外皮の固まっていない状態(だから砂に潜っているのですが)で無理やり砂の上に暴き出されたオカヤドカリは、仲間のオカヤドカリの餌になってしまう可能性が高いのです。
最後に、砂の中で脱皮に失敗していた場合。これは既に死んでいますから掘り起こしたところで生き返ることは絶対にありません。単に脱皮不全を起こしたのか、あるいは仲間に食殺されたのか、原因の特定も不可能ですし、特定できたとしても大した意味はありません。
そうすると、この質問の意図は、もう死んでいるので腐る前に掘り起こすという意味なのでしょうか? そう考えても“そろそろ”の辻褄が合わない様な気もしますが…。
ちなみにこの場合の答えも「掘り起こさないでください」です。アクアリウムなら大きな魚が死ねば水全体に濃厚なアンモニアが放たれることになりますから、死骸は速やかに取り除いた方が良いのですが、砂を敷いて空気中で飼うオカヤドカリの場合は、砂の中で一匹やそこらのオカヤドカリが死んで腐っていたところでどうということはありません。これでどうにかなるなら、そもそもの飼育環境が間違っています。また腐る前に他のオカヤドカリが餌にする場合も往々にしてありますから、多少飼育方法が間違っていてもそうそう酷いことにならない可能性が高いのです。
下手に腐敗進行中の死骸を掘り起こして、硫化水素の塊を飼育ケース内に解き放つことのない様、「掘り起こさないでください」というのが正しい回答です。
ところで、砂に潜って脱皮モードに入ったオカヤドカリは、もちろん甲長によっても差がありますが、短くても1ヶ月。長ければ3ヶ月ぐらいでも平気で潜っていることがあります。短すぎれば問題ですが、長いのは大した問題ではありません。

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トンデモ14:店頭で酷い状態で売られているオカヤドカリはすぐ死ぬ
オカヤドカリ飼育がもっともっとマイナーな趣味であった頃の話しばかりして申し訳ないですが、以前は店頭で酷い状態じゃなく売られているオカヤドカリなど、あまり見かけませんでした。店側にとっては消耗品的な商材で、夏場の一時だけ衝動買いしてくれれば御の字といった扱いだったのでしょう。
所詮、釣りえさルートですし(T-T)
こういう状態でしたから、オカヤドカリを探すのなら夏の早いうち、ということもよく言われました。秋口になると店の奥の隅っこの暗いところにプラケースが置かれ、中には腐ったキャベツと貝殻だけが残ってる様な状態で、それをかき分けかき分け探すと、5匹ぐらい生き残ってて・・・。
酷い状態でしょう?こんな状態で売られてるオカヤドカリ。買ってきてもすぐに死んでしまうと思いますか?あるいは、この過酷な環境を生き延びたのだから、丈夫な個体に違いなく、きっと長生きするに違いないと思いますか?
答えは「どちらでもない」・・・て、すみません。こればっかりは神のみぞ知る。既にドライアップしてたり、逆に水漬けで腐っちゃってる様なのは問題外として、店頭で陳列されている状態など、それ以前の流通過程で晒されるストレスに較べれば微々たる物で、そのストレスを掻い潜って店頭で生きているのなら、夏場だろうが秋口だろうが、購入時点では大差ないと思います。
と、ここで終われば平和(?)なのですが・・・。
以前は、上記の様な感覚だったオカヤドカリの店頭での扱い状況なのですが、最近ではかなり様変わりしました。誤解を恐れず言えば、「店頭で良い状態で売られているオカヤドカリはすぐ死ぬ」という状況も発生しています。
無味乾燥なプラケースに入れられていたり、テキヤさん的にタライに入れられていたり、あの金魚すくいの青いケース(トロ箱?)に入れられていたり、こういう状況は今でも見かけるのですが、これは従来通り。別に良くも悪くもありません(店頭で陳列する状況と家庭で飼育する状況は、そもそも別物という見地で言えば)。
“良い状態”とは、見栄の良い水槽等に、様々なオカヤドカリ専用グッズを入れ、オカヤドカリ専用フードや専用ゼリーを入れ、オカヤドカリ専用のなんたらウォーターとやらを入れ、煌々とライトアップ!と、こういう状態を指します(^_^;)
私なら、こういう店で売られているオカヤドカリを購入はしません。売るためのレイアウトと飼育するためのレイアウトは別物だと判っていても、ここまで知識の無い(あるいは知識の無い卸メーカーの言いなりの?)ショップでキープされているオカヤドカリ。危なっかしくて買えたものじゃありません。
そうではありませんか?
オカヤドカリ専用品とやらの“専門性”については、ここでは述べませんが、グッズなど同じ店内でもっと安く売ってる流木を入れるだけで充分な訳ですし、フードは同じく店内で売ってる(ハムスター等の餌?)ドライフルーツやドライベジタブルで良い訳です。いや、家で余った野菜クズでも充分。水についても(もっと安い人間用の)ミネラルウォーターの方がよほど安全ですし、どこをどう取ったって経費削減できるのに、それをしないというのが商売やる気あるのかと・・・。
え?オカヤドカリのケースは、グッズのショーケース的な役割もある?なるほど。
それなら、ひっくり返って散らされてるグッズや、見向きもされない(しかもグジャグジャで固まった)餌様のものや、ライトから隠れる様に隅っこでジッとしてる生体や、既にドライアップしている死体やら、さっさと片付けた方が良いと思いますがね。
ついでに消費者の方へ。このショーケースに入れてある宿代え用の(ペイントしていない)貝殻は、実は入れた時は貝殻じゃなかったはずでし・・・。
トンデモ15:オカヤドカリ飼育には塩水が必要
最近、またこの質問が増えてきましたが、何処かで何かあったのですかね。ま、良いや。
塩水を「しおみず」と読むのなら超トンデモですが、「えんすい」と読むのなら、正解ではないものの間違いではありません。 塩水(しおみず)とは平易な日本語では食塩水、つまり塩化ナトリウム水溶液のことを指し、海の水(塩化物水溶液+α)とは全く別物だからです。
と言う訳で(?)、BBSに以前にアップした「塩の話」から抜粋して、以下に解りやすく意訳転載しますね。ちと長いですが・・・。
塩の話(抜粋意訳)
海水中に含まれる塩の内、代表的なものを多い順に書くと、塩化ナトリウム、硫化マグネシウム(硫酸マグネシウム?)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、 塩化ストロンチウム、臭化ナトリウム、ホウ酸、 フッ化ナトリウム、ヨウ化カリウムといったところです。確か・・・。
これらはミネラルと呼ばれる類の物で、栄養塩(有機塩類)とは別物の無機塩類です。(ちなみに栄養塩は、窒素酸化物=アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩=や、有機リンなど、残餌や生物の排泄物・死骸等の成れの果てのことを指します)

一方で食塩とは(海水の水分を蒸発させたものには違いないのですが)海水を天日干しして濃縮したものを、遠心分離器にかけ抽出された純度の高い塩化ナトリウムのことを指しますが、この段階での食塩は100%塩化ナトリウムではなく、他のミネラル類も少量含まれているため粗製塩とも呼ばれます。
粗製塩を更に精製して塩化ナトリウムの純度を高めたものが、一般的に出回る食塩です(遠心分離の前に濾過する場合もあります)。
ご存知の方もおられると思いますが、塩(しお)には化学塩と呼ばれるものもあります。これは塩化ビニールに苛性ソーダぶっかけたりして作られる、100%塩化ナトリウムのことで、食品用として使われると違法になりますので、一般家庭に出回ることはないはずです。

話しは逸れますが、海水から塩化ナトリウムが分離された後の濃縮水(脱塩化ナトリウム水)をにがりと呼びます。
塩化マグネシウムと硫化マグネシウムが主成分で、本にがりとか天然にがりと呼ばれているものは、この脱塩化ナトリウム水を更に精製した、純度の高い塩化マグネシウムである場合が多いようです。(本とか天然とか付いていないものは硫酸マグネシウム水溶液の様で、同じ量の大豆から作れる豆腐の量が更に多い)
豆腐のことは置いておいて塩の話に戻りますが、健康トンデモ神話(?)的には、食塩は全て天然塩であるにも関わらず、「粗製塩=天然で良いもの」「食塩=人工であかんもの」というイメージが一部にあり、これについては私は別に家事研究家でも消費者団体の関係者でもないので、どうでも良いのですが、生き物を飼育する上では、健康トンデモ業界のイメージ戦略はあまり関係ありません。
で、ここからがようやく生物飼育の話し(^_^;)
海水魚が水槽で飼える様になった一大便利グッズとして、人工海水という物があります。100年ぐらい前にドイツ辺りで岩塩を主成分にして様々な微量元素を加え、海洋生物を飼育する目的で作られたものが最初だったかと。
それから色々と研究開発が進んで、今ではより海洋生物を飼うのに適した人工海水が作り出されています。 もちろん、様々な種類があり、どれが良いとは一概に言えません。天然の海水から作られた“天然人工海水(?)”もあれば、化学薬品を混ぜて作られた“人工人工海水(?)”もあります。
また、海水魚の様な鈍感な生き物なら、この程度の雑なので良いや!ってなグレードの人工海水もあれば、(エビ・カニ・ヤドカリを含む)無脊椎飼うならこの程度は天然海水に近付けないとね!ってなグレードの(私は使ったことがない)ものもあります。
ただし、人工海水は全て、海洋生物の飼育を目的に作られています。 一方の健康トンデモ業界で言うところの「天然塩とやら」は、もちろん人間用に作られた調味料に過ぎません。
海洋生物の飼育を目的に作られた人工海水と、健康トンデモ業界のイメージ戦略で作られた「天然塩とやら」の、どちらが海洋生物に適しているか?という答えは、自ずと明らかではないでしょうか。
少なくとも、化学塩であろうが、天然塩であろうが、食塩であろうが、どれを水に溶かしても海水とはとても言えない塩水(しおみず)に過ぎませんので、これでオカヤドカリの必須ミネラルが事足りるという訳ではありません。
そんなことより、塩水(しおみず)であろうが塩水(えんすい)であろうが、人工海水であろうが、天然海水より高い濃度の塩水(えんすい)は、オカヤドカリのエラに致命的なダメージを与えますので、人工か天然か?よりも、そのことを気にするべきだと思います。
参考までに私の場合は、オカヤドカリ飼育環境の真横にマリンタンクがありますから、その飼育水(10kgで5,000円ぐらいの安物を、更にセール割引で買った人工海水の水溶液)の比重が、比重計で1.023以下であることを確認した後、スポイトで採り、更に念のために真水で薄めてから使用しています。
また小さな容器に入れた海水は、水分の蒸発によって短期間で、思ったよりも比重が高く(濃度が濃く)なりますから、足し水する場合は真水を足します。

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トンデモ16は、そろそろネタ切れの予感ですが、考え中です。
トンデモ新企画「オカヤドカリの生態について」を始めましたが、こちらもすぐにネタ切れの予感です。別にバケモノでも何でもなくて、単純明快な生き物なんだけどな・・・。

オカヤドカリ飼育に関するFAQ」と「オカヤドカリ飼育に関し、判明している事実」もご参考に。
基本中の基本をご存じない方は、キッズ向けですが「デカ-ジェイ キッズ」をご参考に。

ヤドカリ・オカヤドカリに関する蘊蓄はDecapediaをご覧ください。

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