ヤドカリ/ナキオカヤドカリ のバックアップ(No.25)
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[編集]ナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)
他のオカヤドカリ属と同様、熱帯域の陸上に棲息。
ムラサキオカヤドカリに非常に似る。即ち鉗脚上縁の毛束列と左鉗脚の掌部外面の斜向顆粒列が(ムラサキオカヤドカリを除く)他種との顕著な違い。眼柄の断面は著しく扁平する。
色は白、水色、スミレ色、紫、赤等バラエティに富むが、ある程度の齢に達した個体は概ね茶色っぽくなる。体色だけでは本種とムラサキオカヤドカリの区別はつかない。眼柄下部の暗色線の有無によって見分ける。
写真の様に、砂浜をウロウロしているものは、(繁殖期の大潮の夜を除き)海から上がってきたばかりの当歳〜2歳ぐらいまでの小型の個体が多い。大型になると浜から少し離れたアダン林等に顰み、夜間に海水や餌の摂取に海岸近くに現れることもある程度。
またこの様に砂浜近くにいるのは、当種かムラサキオカヤドカリがほとんどで、オカヤドカリやオオナキオカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリを、見ることはまずない。
ムラサキオカヤドカリと同様に発音器(後述)を持つため「鳴くオカヤドカリ」として有名。一般にオカヤドカリが鳴くのは、昆虫やカエル等のメーティングコールとは意味合いが違い、むしろリリースコールか威嚇音に近いものと思われる。外敵に襲われたりストレスを受けたり不快な時に鳴く様だ。
インド−西太平洋に広く分布するが、本州の一部でも越冬が確認される。世界最北限に棲息するオカヤドカリとして貴重な種。
ムラサキオカヤドカリに次いで我国で多産するオカヤドカリ。個体数は多い。但し、開発等による棲息環境の減少・悪化が深刻な影響を与えている可能性がある。一説には30年以上生きると言われ、大量に棲息していても幼い世代が増えていない可能性が高い。
繁殖は海で行われ誕生時はゾエアとして放出される。やがてグラウコトエとなり貝殻を背負って上陸してくるのだが、放仔・上陸に適した環境が激減していることに加え、棲息地と繁殖地の往来を妨げる要因が増大している。
市場にはムラサキオカヤドカリと共に大量に流通している。昨今の俄ブームのためか小型個体の流通が著しく増えた(オカヤドカリの採取制限はt数による=小型個体の方が多数採取可能)。このことが上記環境の悪化と相俟って、数年後には急激に減少する恐れもある。
節足動物門 > 甲殻亜門 > 軟甲綱(エビ綱)> 真軟甲亜綱 > ホンエビ上目 > 十脚目(エビ目)> 抱卵亜目(エビ亜目)> 異尾下目 > ヤドカリ上科 > オカヤドカリ科 > オカヤドカリ属
[編集]参考情報
[編集]参考情報2
オカヤドカリを色で値段分けしている業者が存在する様だが、これには無理がある。ナキオカヤドカリには右図の様な赤い個体も特に珍しくなく存在しているし、脱皮前後の環境によって色など容易に変色する。また、齢を重ねれば一様に地味な色になっていく。
また、「珍しい鳴くオカヤドカリ」と称して高値で販売していた(いる?)噴飯物の業者も在る様だが、ナキオカヤドカリもムラサキオカヤドカリもオオナキオカヤドカリも発音器を持つため、ストレスを与えれば鳴く。
生き物を苛めて鳴かせ、それで値段を吊り上げるなど以ての外。鬼畜の所業だが、超低レベルな詐欺紛い行為に容易に嵌まる消費者の方がむしろ罪深い。
ナキオカヤドカリの種名については、「鳴くからナキオカヤドカリ」という説と「眼柄下部の暗点を鳴きボクロに見立ててナキオカヤドカリ」という説があり興味深いが、後者はマニアによる願望だろう。
ナキオカヤドカリの種名が付いた時点ではムラサキオカヤドカリが鳴くことは知られておらず、後にムラサキオカヤドカリも鳴くことが判明したというのが経緯であり、両者の見分け方として眼柄下部の暗色線が注目されたのは、それよりもずっと最近のことである。
[編集]参考情報3
本種やムラサキオカヤドカリを「珍しい鳴くオカヤドカリ」と称し、レア感を煽っている業者の中には、種の区別なく“鳴く”ものを“ナキオカヤドカリ”と僭称している業者まで存在する様だ。この手のインボイス名の誤用・乱用は、無知ゆえの過失ではなく非良心的な業者特有の古典的詐称である場合が多いので、消費者は騙されないようにしたいものだ。
我国の市場に流通するオカヤドカリは、ほぼ90%以上(正規ルートなら限りなく100%と言っても差し支えないだろう)がナキオカヤドカリかムラサキオカヤドカリなので、“鳴くオカヤドカリ”は珍しくも何ともない*1。
また「ナキオカヤドカリの中でも鳴くのは数匹」等と、あたかも“能力の優劣”の如く歪曲した表現も存在する様だが、ナキオカヤドカリであってもムラサキオカヤドカリであっても、鳴くシチュエーションが稀であるだけで、個体毎の差異では有り得ない。
ちなみに、オカヤドカリが鳴くのはメーティングコールではなく、威嚇または悲鳴に近い。
・雄の強引な繁殖行動により雌が悲鳴をあげている。
・繁殖欲求が高まり雄がイライラしている。
この様なケース以外で鳴く場合は、貝殻の奪い合いであるケースも含め、飼育環境の見直しが必要だろう。
[編集]ナキオカヤドカリの発音器
出処は不明だが、「ナキオカヤドカリは、声帯などの発声器官はなく、貝殻の内側を足で引っ掻くことにより音を出す」という情報が散見(2016年現在)され、(そもそも足は無いが、発生器官ではなく発音器官はあるが、)間違いではないものの、誤解を招く恐れがあるため追記した。
プラケースの壁面を登ろうとしてキュウキュウ音を出しているものを「鳴いた」と勘違いしているケースも含め、どのオカヤドカリでも歩脚の指節(爪の様な部分)で貝殻を引っ掻いて鳴く様なイメージを持つ飼育者や、中には、尾肢を貝殻に擦りつけて鳴くという噴飯物のQ&A*2まであり、微笑ましくないこともないのだが、かつて「珍しい鳴くオカヤドカリ」としてレア物商法を企んだ業者まで存在したので、「オカヤドカリが鳴くのに最適な貝殻」商法が登場しないとも限らない。
古い文献では、本種が左大鉗脚の斜向顆粒列*3を貝殻に擦りつけて音を出すために、ナキオカヤドカリと名付けられたという経緯が記載されている。また鉗脚の斜向顆粒列と第一歩脚の指節下縁の稜を擦りつけて鳴いている等の説も過去の資料に見ることができる。
その後、本種と同様に鉗脚に斜向顆粒列を持つムラサキオカヤドカリも、鳴くことが判明したため、有力な説の様にも見えるが、よく鳴くと言われるオオナキオカヤドカリの鉗脚には斜向顆粒列はないため、これらの説は今では否定されている。
ここ最近の研究者や飼育者の観察からは、どうやら第一歩脚の稜のギザギザ(発音器)を貝殻の殻口内側に擦りつけて音を出しているのではないかという説が有力で、筆者もこの説を支持している。
本種も含めオカヤドカリ属の付属肢(第四脚、第五脚)の先端はヤスリ状になっていて、背負った貝殻を固定するために役立っているのだが、これを発音器と勘違いしている様な見解も見られ、さらには付属肢と尾肢とを混同した様な情報も見られるため、以下に体の構造を図示しておく。
[編集]オカヤドカリと海水について
オカヤドカリの飼育に海水が必要というのは、1999年か2000年頃に筆者が提唱したものなので、言い出しっぺの責任として、ここに経緯をまとめておく次第。
当時、自然下のオカヤドカリを観察していると、危険を犯してまで、頻繁に海水を補給しに海へ赴く姿が見られたことから、飼育中のオカヤドカリにも海水は有効ではないかと考えた。
また、海棲の甲殻類(エビやカニやヤドカリ)を飼育する際、強力なプロテインスキマー等を使用すると海水中のヨウ素が不足し、脱皮に失敗しやすくなるということが、当時交流のあったベルリニスト(ベルリン式でミドリイシ等のサンゴを育てている人)の間では定説となっていたため、ヨウ素を補う目的もあり、海水をオカヤドカリの飼育槽中に入れてみた。
実際に海水を入れてみると、オカヤドカリは非常に海水を好み、真水の入った容器と海水容器の間を行ったり来たりして、両方に長々と浸かっている姿が観察できた。
その後、海外のオカヤドカリ愛好家からも、オカヤドカリが貝殻の中に海水と真水の混ざった塩水(えんすい)を蓄水するという情報を得て、今に至る。
オカヤドカリを飼育する場合、海水は必ずしも必要という訳ではなく、小鳥用の塩土やカトルボーン(イカの骨)等で、カルシウムやナトリウム、マグネシウム等の必須元素は補うことができ、また、海藻等の餌を与えることによってヨウ素を補うことができる。
但し、真水は絶対に必要で、未だに「オカヤドカリは水に溺れる」というデマが一部で罷り通っていたりもするが、オカヤドカリが自分で容器から出られない様な深い水入れの中に数週間も放置され、衰弱死してしまうケースを除けば、溺死することはない。水を嫌うようなこともなく、季節にもよるが、日に何度も水浴びする姿が飼育下でも見られるだろう。
オカヤドカリが暮らす環境はカルシウム分の多い弱アルカリ質の土壌で、また海水も弱アルカリ性(pH8程度)なので、塩素を抜いた水道水や、添加物の入っていないミネラルウォーター(pH7前後)で問題ない。
まさかとは思うが、スポーツドリンクや炭酸飲料(pH4~5)、ジュース等を霧吹きで吹きかる様な行為は厳禁。クエン酸(pH2~3と強烈に酸性)が味付けに使われているケースもあるので、炭酸カルシウムの外骨格を溶かしたり、エラを痛めたりで、最悪の場合オカヤドカリが即死する。
香料や添加物もクエン酸以上に危険な場合があるので、塩素を抜いた水道水か無添加のミネラルウォーターを使うことをお薦めする。
同様に、海水も入れっぱなしにしていると水分が蒸発し、塩分濃度が高くなることがあり危険。天然海水濃度以下(比重1.023以下)の新鮮な海水を常に用意できないのであれば、海水は入れない方が良い。
海水は港湾や河口ではなく外洋に面した海から清浄な海水を汲んでくるか、ペットショップで簡単に入集可能(Amazonでも入手可)な人工海水を使用するのが(コスパも)良い。
食塩(粗塩や、天然塩や自然塩と商品名にうたっているものも含む)を水に溶いても海水とは全くの別物で、比重:濃度も違うので一時的な代用も避けた方が良いだろう。
[編集]関連記事
ヤドカリ/オカヤドカリ
ヤドカリ/コムラサキオカヤドカリ
ヤドカリ/ムラサキオカヤドカリ
ヤドカリ/オオナキオカヤドカリ
[編集]オカヤドカリの飼育方法
オカヤドカリの飼育未経験者による怪情報ではなく、オカヤドカリの飼育経験者による実体験に基づいた正則情報のみをリンクしています。
[編集]十脚目通信内関連リンク
*1 鳴かないオカヤドカリで市場に出る可能性のあるものはオカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリであり、いずれも流通量は少ない。
*2 「沖縄県天然記念物調査シリーズ第29集 あまん オカヤドカリ生息実態報告書」(沖縄県教育委員会,1987)内に、それまで定説だった「左大鉗脚の摩擦顆粒列を貝殻に擦りつけて音を出す」という説を否定する意味で書かれた「音は宿貝の殻内から聞こえてくる。発音メカニズムは実は尾肢外肢を宿貝の殻軸壁に摩擦させることによって音を発生させている」という記述があり、この伝聞の伝聞が、20数年後の現在、「尾肢を貝殻に擦りつけて鳴く」という怪情報となって姿を現したと思われる。
*3 当時は斜向顆粒列ではなく摩擦顆粒列と記述、つまり貝殻に擦りつけて音を出すための器官と目されていた。