ヤドカリ/ナキオカヤドカリ のバックアップ(No.15)


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[編集]ナキオカヤドカリCoenobita rugosus

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他のオカヤドカリ属と同様、熱帯域の陸上に棲息。
ムラサキオカヤドカリに非常に似る。即ち鉗脚上縁の毛束列と左鉗脚の掌部外面の斜向顆粒列が(ムラサキオカヤドカリを除く)他種との顕著な違い。眼柄の断面は著しく扁平する。
色は白、水色、スミレ色、紫、赤等バラエティに富むが、ある程度の齢に達した個体は概ね茶色っぽくなる。体色だけでは本種とムラサキオカヤドカリの区別はつかない。眼柄下部の暗色線の有無によって見分ける。
写真の様に、砂浜をウロウロしているものは、(繁殖期の大潮の夜を除き)海から上がってきたばかりの当歳〜2歳ぐらいまでの小型の個体が多い。大型になると浜から少し離れたアダン林等に顰み、夜間に海水や餌の摂取に海岸近くに現れることもある程度。
またこの様に砂浜近くにいるのは、当種かムラサキオカヤドカリがほとんどで、オカヤドカリオオナキオカヤドカリコムラサキオカヤドカリを、見ることはまずない。

発音器を持つため「鳴くオカヤドカリ」として有名。一般にオカヤドカリが鳴くのは、昆虫やカエル等のメーティングコールとは意味合いが違い、むしろリリースコールか威嚇音に近いものと思われる。外敵に襲われたりストレスを受けたり不快な時に鳴く様だ。
インド−西太平洋に広く分布するが、本州の一部でも越冬が確認される。世界最北限に棲息するオカヤドカリとして貴重な種。

ムラサキオカヤドカリに次いで我国で多産するオカヤドカリ。個体数は多い。但し、開発等による棲息環境の減少・悪化が深刻な影響を与えている可能性がある。一説には30年以上生きると言われ、大量に棲息していても幼い世代が増えていない可能性が高い。
繁殖は海で行われ誕生時はゾエアとして放出される。やがてグラウコトエとなり貝殻を背負って上陸してくるのだが、放仔・上陸に適した環境が激減していることに加え、棲息地と繁殖地の往来を妨げる要因が増大している。

市場にはムラサキオカヤドカリと共に大量に流通している。昨今の俄ブームのためか小型個体の流通が著しく増えた(オカヤドカリの採取制限はt数による=小型個体の方が多数採取可能)。このことが上記環境の悪化と相俟って、数年後には急激に減少する恐れもある。

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[編集]参考情報

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オカヤドカリを色で値段分けしている業者が存在する様だが、これには無理がある。ナキオカヤドカリには右図の様な赤い個体も特に珍しくなく存在しているし、脱皮前後の環境によって色など容易に変色する。また、齢を重ねれば一様に地味な色になっていく。

また、「珍しい鳴くオカヤドカリ」と称して高値で販売していた(いる?)噴飯物の業者も在る様だが、ナキオカヤドカリムラサキオカヤドカリオオナキオカヤドカリも発音器を持つため、ストレスを与えれば鳴く。
生き物を苛めて鳴かせ、それで値段を吊り上げるなど以ての外。鬼畜の所業だが、超低レベルな詐欺紛い行為に容易に嵌まる消費者の方がむしろ罪深い。

ナキオカヤドカリの種名については、「鳴くからナキオカヤドカリ」という説と「眼柄下部の暗点を鳴きボクロに見立ててナキオカヤドカリ」という説があり興味深いが、後者は眉唾臭い。
確か、ナキオカヤドカリの種名が付いた時点ではムラサキオカヤドカリが鳴くことは知られておらず、後にムラサキオカヤドカリも鳴くことが判明したというのが経緯であった。両者の見分け方として眼柄下部の暗色線が注目されたのは、それよりもずっと最近のことである。


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