ヤドカリ/クロシマホンヤドカリ のバックアップ(No.2)


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[編集]クロシマホンヤドカリPagurus nigrivittatus

nigrivittatus.jpg

典型的な北方起源*1ヤドカリで右鉗脚が大きい。
房総半島以南の太平洋側の低潮帯辺りで見られる。ケアシホンヤドカリよりも更に沖合い(深場)の、波がマトモに洗う様な場所に棲息するため、大潮の干潮時間帯のタイドプールでなければ見付けるのは難しい。
一見するとユビナガホンヤドカリに姿が似ているが、本種の縞は横縞ではなく縦縞で、関節部のみ縞が消失して白い地肌を見せている。

かつては、アカシマホンヤドカリPagurus pilosipes)の弱齢体と考えられていたこともある。本種の幼体には縞が褐色の個体があり、アカシマホンヤドカリの幼体によく似ているためで、縞が黒い個体も成長に伴い赤い縞になると考えられていた。
2003年、千葉県立中央博物館の駒井 智幸氏により、それまでアカシマホンヤドカリとされていたものが、オキナワアカシマホンヤドカリPagurus pilosipes)とされ、アカシマホンヤドカリPagurus erythrogrammus)と本種クロシマホンヤドカリPagurus nigrivittatus)が新種記載された。
筆者は直接関与しなかったが、ヤドカリ研究所(2006年に閉鎖)他で、リアルタイムでこの辺りのやり取りを拝見していたため、このヤドカリは筆者にとっては特別に思い入れのある種だ。
尚、この辺りの経緯については、ヤドカリパーク*2に詳しい。

一般に海棲ヤドカリの飼育は容易で、海水魚が長期飼育できる程度の環境さえ整っていれば2、3年は維持できる。本種も同様で強健な種類だが、魚等の鈍感な生き物に比べると水質悪化や水質の急変に弱い。またオカヤドカリ等に比べると非常に大食漢であるため、魚の残餌だけを与えていたのではすぐに姿を消す。水槽中に生える藻(通称コケ)は、本種に限ってはよく食べると言われている。

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*1 寒海起源とも言う=寒海性のヤドカリの祖先から分化した種。北方起源と南方起源は、それぞれ別の祖先から収斂進化し、似た形質を持ったとする説もある。
*2 自称オカヤドカリ専門店とは何の関係もない本家ヤドカリパークの方である。