ヤドカリ/オカヤドカリ のバックアップ(No.16)


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[編集]オカヤドカリCoenobitidae

ヤシガニ属(Birgus)を含むオカヤドカリ科の総称。またはヤシガニを除くオカヤドカリ属(Coenobita)の総称。
オカヤドカリ属は日本に6種。オカヤドカリC.cavipes)、ナキオカヤドカリC.rugosus)、ムラサキオカヤドカリC.purpureus)、コムラサキオカヤドカリC.violascens)、オオナキオカヤドカリC.brevimanus)、サキシマオカヤドカリ?C.perlatus)が棲息。
オカヤドカリ属全種が国指定天然記念物。

[編集]オカヤドカリCoenobita cavipes

cavipes1.jpg

オカヤドカリオカヤドカリオカヤドカリという種。
他のオカヤドカリ属と同様、熱帯域の陸上に棲息。
ムラサキオカヤドカリナキオカヤドカリとは形態的にやや違いがあり、コムラサキオカヤドカリに似る。即ち左鉗脚の掌部外面に斜向顆粒列がないことと眼柄の断面がそれほど扁平しないことが特徴。
色は褐色。発音器は持たない(鳴かない)はず。
インド−西太平洋に広く分布。

我国での個体数はムラサキオカヤドカリナキオカヤドカリに比べると少ないが、希少という訳でもない。

市場には上記2種のマジリで流通する可能性があるが、棲息環境が違うためか繁殖時期の違いなのか混じることは少ない様だ。昔からの釣餌ルートでの流通があるのか大型の個体が本種単体で大量に出回ることがある。
飼育環境は上記2種とほぼ同じで良いはず。

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[編集]参考情報

cavipes4.jpg

ナキオカヤドカリの様な眼柄下部の暗色線はない。
また、ナキオカヤドカリムラサキオカヤドカリの様に、鉗脚上縁の毛束列や左鉗脚の掌部外面の斜向顆粒列がなく、鉗脚全体に顆粒が散らばる。


[編集]オカヤドカリと海水について

オカヤドカリの飼育に海水が必要というのは、1999年か2000年頃に筆者が提唱したものなので、言い出しっぺの責任として、ここに経緯をまとめておく次第。

当時、自然下のオカヤドカリを観察していると、危険を犯してまで、頻繁に海水を補給しに海へ赴く姿が見られたことから、飼育中のオカヤドカリにも海水は有効ではないかと考えた。
また、海棲の甲殻類(エビやカニやヤドカリ)を飼育する際、強力なプロテインスキマー等を使用すると海水中のヨウ素が不足し、脱皮に失敗しやすくなるということが、当時交流のあったベルリニスト(ベルリン式でミドリイシ等のサンゴを育てている人)の間では定説となっていたため、ヨウ素を補う目的もあり、海水をオカヤドカリの飼育槽中に入れてみた。

実際に海水を入れてみると、オカヤドカリは非常に海水を好み、真水の入った容器と海水容器の間を行ったり来たりして、両方に長々と浸かっている姿が観察できた。
その後、海外のオカヤドカリ愛好家からも、オカヤドカリが貝殻の中に海水と真水の混ざった塩水(えんすい)を築水するという情報を得て、今に至る。

オカヤドカリを飼育する場合、海水は必ずしも必要という訳ではなく、小鳥用の塩土やカトルボーン(イカの骨)等で、カルシウムやナトリウム、マグネシウム等の必須元素は補うことができ、また、海藻等の餌を与えることによってヨウ素を補うことができる。

但し、真水は絶対に必要で、未だに「オカヤドカリは水に溺れる」というデマが一部で罷り通っていたりもするが、オカヤドカリが自分で容器から出られない様な深い水入れの中に数週間も放置され、衰弱死してしまうケースを除けば、溺死することはない。水を嫌うようなこともなく、季節にもよるが、日に何度も水浴びする姿が飼育下でも見られるだろう。

オカヤドカリが暮らす環境はカルシウム分の多い弱アルカリ性の土壌で、また海水も弱アルカリ性(pH8程度)なので、塩素を抜いた水道水や、添加物の入っていないミネラルウォーター(pH7前後)で問題ない。
まさかとは思うが、スポーツドリンクや炭酸飲料(pH4~5)、ジュース等を霧吹きで吹きかる様な行為は厳禁。クエン酸(pH2~3と強烈に酸性)が味付けに使われているケースもあるので、炭酸カルシウムの外骨格を溶かしたり、エラを痛めたりで、最悪の場合オカヤドカリが即死する。
香料や添加物もクエン酸以上に危険な場合があるので、塩素を抜いた水道水か無添加のミネラルウォーターを使うことをお薦めする。

同様に、海水も入れっぱなしにしていると水分が蒸発し、塩分濃度が高くなることがあり危険。天然海水濃度以下(比重1.023以下)の新鮮な海水を常に用意できないのであれば、海水は入れない方が良い。
食塩(粗塩や、天然塩や自然塩と商品名にうたっているものも含む)を水に溶いても海水とは全くの別物で、比重:濃度も違うので一時的な代用も避けた方が良いだろう。



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