カニ/ベンケイガニ のバックアップソース(No.9)

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* ベンケイガニ('''Sesarmops intermedia''') [#da5b094c]

#ref(intermedia.jpg,around,50%);
温帯域の陸上に棲息。
オレンジ色がかった派手な赤いカニだが、[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]('''Chiromantes haematocheir''')に比べると鉗脚の赤味は薄い。
河口、干潟、海岸近くの森や崖など、海辺では最もよく眼にする陸棲のカニ。[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]に比べると海水への依存度が高く、海から遠く離れた場所で見掛けることはない。ペットショップ等で「[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]」といって売られているものは、ベンケイガニであることが多い。
食性は植食性の強い雑食で、天然下では照葉樹の森に棲み、その落ち葉等をよく食べているが、死んだ魚や小動物等も食べているものと思われる。天然下では[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]よりも生臭い場合が多く、またフナムシを捕食しているシーンもよく目にするので本種の方がやや肉食性が強い様だ。

ペットショップ等では、[[サワガニ>カニ/サワガニ]]と同じ扱いで薄く水を張った容器でキープされていることが多いが、実際には陸棲傾向が強い。天然下では陸地をウロウロしていて、採餌も主に陸上で行う。水が必要なのは呼吸に際してと、脱皮の際。
口器の横に溝があり、その溝と脚の付け根にある鰓の間を水を循環させて呼吸しているが、水が古くなってくると呼吸しにくくなるため、体ごと水の中に入り新鮮な水と交換する。即ち口から泡を出している時は呼吸が苦しくなっている。
脱皮は完全に水の中で行う。大きさにもよるが、成ガニで年に一回程度。数分で脱皮を完了するが完全に体が固まるまでには1日ほど掛かる。その間はソフトシェルクラブの状態で非常に無防備なため、飼育するなら単独飼育が原則。
飼育下ではニンジン、リンゴ等をよく食べる。時々ザリガニ・ヤドカリの餌等を与えてやる。
飼育環境はオカヤドカリに似る。砂を敷き流木等を配してやると良いが、体が大きいのでオカヤドカリよりも更に大きく深い水場が必要。また脚が長く体が平べったいので脱走が上手く、ピッタリと閉まるフタが無ければ飼育は不可能。

&color(#FF9900){&size(12){節足動物門 > 甲殻亜門 > 軟甲綱(エビ綱)> 真軟甲亜綱 > ホンエビ上目 > 十脚目(エビ目)> 抱卵亜目(エビ亜目)> 短尾下目 > イワガニ上科 > ベンケイガニ科 > ベンケイガニ属};};
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*** 参考情報 [#faab9d5e]
アカテガニの甲部(左)とベンケイガニの甲部(右)
#ref(カニ/アカテガニ/2kani.jpg,left);
本種の甲外縁には鋭い切れ込みがある。甲表面もゴツゴツした感じで、鉗脚に鋸条があることでも見分けられる。

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*** 棲息環境 [#le9796cb]
#ref(intermedia2.jpg,around,nolink,50%);
海岸林の木の根元等に穴居する。同じ様な場所には[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]も棲むが、本種の方が海水(塩分)への依存度が高い様で、海から離れるに従って[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]の方が隆盛となる。
但し、本種も行動半径は広く、雨上がりの草叢等では昼間でもウロウロしている。海近くのキャンプ場で炎天下の芝の上を駆け回っている本種の姿には心が和む。

写真は南紀某所の個体で、他の棲息地でみるベンケイガニに比べると赤味が強い。遠くから見ると[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]と見分けがつきにくいが、鉗脚の先の白い部分の面積が大きいことで本種と判る。
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***関連記事 [#h541b909]
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