カニ/ノコギリガザミ のバックアップ(No.3)


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[編集]ノコギリガザミ(Scylla Sp.

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インド洋〜太平洋にかけて広く分布。我国では相模湾以南の泥干潟やマングローブ林に棲息。但し、温帯域に棲息するものは無効分散と思われる。
数種の存在が知られ、我国にはアミメノコギリガザミ S. serrata、アカテノコギリガザミ S. olivacea、トゲノコギリガザミ S. paramamosainの3種の棲息が確認されている。写真の個体は我国産ではなくアジア某所のシーフードレストランで撮影したもので、従って種名不詳だが、形態的特徴からアミメノコギリガザミに近い種類と思われる(真ん中の個体。周りにいるのはアカテノコギリガザミか)。
マングローブ林の林床の泥に穴を掘って棲む(英名をMud Crab)。非常に強力な鉗脚が特徴の大型のカニで、成体になると人間以外の天敵はいないものと思われる(一部地域ではイリエワニに喰われていそうだが)。他のワタリガニ同様、第五脚(第四歩脚)が遊泳脚(指節がヒレの様に平たい)になっている。

我国を含む熱帯アジア地域では、ヤシガニと並んで重要な水産食用資源として顕著。筆者はこのシーフードレストランにて「カニ肉入りカレー」として身を食したが、激辛カレーとこのカニの甘い肉とのマッチングに思わず唸った。非常に美味。
特に鉗脚の肉が旨いことで知られるが、生きている間は決して挟まれないこと。指の一本や二本は簡単にへし折る。挟む力が強いことでは甲殻類中1、2を争うのではないだろうか(もちろん筆者は挟まれたことはない。だからキーボードを打てている)。

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[編集]飼育について

このカニを飼育するためには干潟の環境を再現することが必須。注意点としては、体も大きく力も強いため、しっかりとした丈夫な飼育ケースに必ずキッチリ閉まる頑丈なフタをすること。
具体的には、深さ1,500センチ×幅1,000センチ×奥行き500センチ程度のケースを用意し、干潟の泥を数t敷き詰め、一日に二度、潮の干満を再現してやれば長期飼育が可能ではないだろうか。マングローブを数本植えれば更にGood。複数種の魚の稚魚を餌を兼ねて泳がせ、砂中に軟体動物、ゴカイやイソメ、微小な線虫類等を泥ごと持ち込んで入れてやると、掃除頻度を下げることが可能だろう。
シオマネキ、コメツキガニ等も同様の手順で飼育が可能。