カニ/ノコギリガザミ のバックアップ(No.10)
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[編集]ノコギリガザミ(Scylla Sp.)
インド洋〜太平洋にかけて広く分布。我国では相模湾以南の泥干潟やマングローブ林に棲息。但し、温帯域に棲息するものは無効分散と思われる。
数種の存在が知られ、我国にはアミメノコギリガザミ S. serrata、アカテノコギリガザミ S. olivacea、トゲノコギリガザミ S. paramamosainの3種の棲息が確認されている。写真の個体は我国産ではなくアジア某所のシーフードレストランで撮影したもので、従って種名不詳だが、形態的特徴からアミメノコギリガザミに近い種類と思われる(真ん中の個体。周りにいるのはアカテノコギリガザミか)。
マングローブ林の林床の泥に穴を掘って棲む(英名をMud Crab)。非常に強力な鉗脚が特徴の大型のカニで、成体になると人間以外の天敵はいないものと思われる(一部地域ではイリエワニに喰われていそうだが)。他のワタリガニ同様、第五脚(第四歩脚)が遊泳脚(指節がヒレの様に平たい)になっている。
我国を含む熱帯アジア地域では、ヤシガニと並んで重要な水産食用資源として顕著。筆者はこのシーフードレストランにて「カニ肉入りカレー」として身を食したが、激辛カレーとこのカニの甘い肉とのマッチングに思わず唸った。非常に美味。
特に鉗脚の肉が旨いことで知られるが、生きている間は決して挟まれないこと。指の一本や二本は簡単にへし折る。挟む力が強いことでは甲殻類中1、2を争うのではないだろうか(もちろん筆者は挟まれたことはない。だからキーボードを打てている)。
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[編集]飼育について
このカニを飼育するためには干潟の環境を再現することが必須。注意点としては、体も大きく力も強いため、しっかりとした丈夫な飼育ケースに必ずキッチリ閉まる頑丈なフタをすること。
具体的には、深さ1,500センチ×幅1,000センチ×奥行き500センチ程度のケースを用意し、干潟の泥を数t敷き詰め、一日に二度、潮の干満を再現してやれば長期飼育が可能ではないだろうか。マングローブを数本植えれば更にGood。複数種の魚の稚魚を餌を兼ねて泳がせ、砂中に軟体動物、ゴカイやイソメ、微小な線虫類等を泥ごと持ち込んで入れてやると、掃除頻度を下げることが可能だろう。
シオマネキ、コメツキガニ等も同様の手順で飼育が可能。
尚、冬場の気温が15℃を下回る様な地域では、水槽サイズに見あったヒーターが必要と思われる。
飼育というかは別にして、本種の小型の個体(甲幅12~3cm程度?)を、餌を少なめにして大きく育てずにキープするのであれば、90cmか120cmの定形水槽*1でも可能かもしれない。
泥を厚く敷いてしまうと、酸化濾過も還元濾過も不十分でアンモニアや硫化水素が発生し、カニが即死する場合もあるため、砂を浅めに敷き、別に大型の濾過槽*2で酸化濾過を行い、2週間に1度程度の半換水をしてやると良いだろう。
この環境では脱皮に失敗しやすく、また、成長すると手に負えなくなるため、餌は極限まで少なめにし、成長を抑えれば1~2年程度はキープできる可能性が高い。
このサイズでも鉗脚の力は強いため、脱走されない様に、ガッシリ閉まるステンレス製の金網等で必ず蓋をすること。また、気が荒く素早いカニなので、水換えの際には注意深く行うこと。
甲幅が15cmを超える様になると手に負えなくなるので、そうなった場合は飼育方法を再考するか、2週間ほど泥抜きをし、茹でる等して食べると良いだろう。
*1 薄いガラスやアクリルでは叩き割られる可能性もあるので、水槽強度は充分に考慮すること。
*2 ポンプやホースを鉗脚でへし折られる可能性もあるので、水漏れや漏電に注意すること。