カニ/サワガニ のバックアップソース(No.1)

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* サワガニ('''Geothelphusa dehaani''') [#vf79dcd6]

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北海道から屋久島にかけて分布する我国の固有種。最も身近なカニと言えるが、実は発生段階を含め一生を淡水で終える純淡水性のカニは、カニの中では特異な存在。他のカニに比べる行動範囲が狭く、そのため地域個体の固定度が非常に高く、棲息地域によって様々な色や形態的な多様性を持つ。
名前の通り、山の沢に多数見られるが、里山の田圃の畦等でもよく見られる。冬期は畦に穴を掘り冬眠していることも多い。稚ガニ〜亜成体の期間は沢の転石の下に棲んでいるが、写真の様な大型の成体になると陸棲傾向が強くなる。[[アカテガニ>カニ/アカテガニ]]の様に水から離れることはないが、沢伝いにかなり広い範囲まで移動することがある。
BOD((Biochemical Oxygen Demand=生物化学的酸素要求量=バクテリアが汚れを分解するのに必要になる酸素の要求量))の低い水に棲む生き物であるため環境指標動物として顕著。

&color(#000099){&size(12){節足動物門 > 甲殻亜門 > 軟甲綱(エビ鋼)> 真軟甲亜綱 > ホンエビ上目 > 十脚目(エビ目)> 抱卵亜目(エビ亜目)> 短尾下目 > サワガニ上科 > サワガニ科 > サワガニ属};};
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**飼育について [#le46c58b]
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ペットショップで目にする機会も多いが、都会の住人にとっても少し足を伸ばせば(精々車で数十分)見ることの出きる身近なカニなので、できれば採取によって入手して欲しい。特に“どこの馬の骨とも判らない購入個体の放逐”は、数万年(数億年?)に渡って受け継がれてきた(地域固定)種を、一瞬にして消滅させることになるため、厳に慎んで欲しい。
飼育方法に関しては、バケツに砂利を敷いた様な環境でも暫くはキープできるために簡単だと思われがちだが、Phやや高めの清浄な低温水を好むため、実は長期飼育の難易度は高い。秋〜初夏にかけては簡単に飼えるものの、夏場に30℃を超える様な環境ではすぐに弱る。脱走の名人であるため、水槽等の飼育ケースにはピッタリと閉まるフタが必要で、そのため通気性も悪くなり、夏場には思った以上に水温を上げてしまい死なせてしまう場合が多い。何らかの冷却装置、特に水槽用クーラーがあれば長期飼育が可能。

他のカニに比べると共食いの危険が少ないため、大きめの飼育ケースと充分な隠れ家(兼陸地)を用意してやれば混育も可能。但し脱皮直後に他の個体に襲われて食殺される可能性を排除することは不可能。また飼育下での繁殖は難しい(後述)。
飼育匹数としては、90センチ程度の水槽に♂1匹と♀4、5匹ぐらいが適当だろうか。底に砂利を敷き、流木や石などを多数組む。流木に苔等を植えると特に雰囲気が出て面白い。夏場にはクーラーが必要。かなりの大食漢なので、充分な餌が必要。
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**繁殖行動 [#d2b7a03a]
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初春〜初夏にかけて雄と雌が水中で交尾を行う。飼育下でも容易に交尾を行う。脱皮直後の雌を雄が捕まえて抱え込み、腹を合わせて抱き合う様に交尾をする。飼育下ではこれが問題で、大抵の場合は交尾中に雌が弱って死んでしまう。無事交尾に成功しても、直後に雄が雌を食殺してしまうことが多い。
交尾成功後、雌は自分の尾の内側(通称フンドシ)に産卵する。卵は他のカニとは違い大卵型で孵化時点でゾエアではなく稚ガニの状態で産まれる。雌は沢の転石の下で稚ガニを抱いて凄し、かなり大きくなってから放仔する。このため交尾にさえ成功すれば飼育下でも他のカニより容易に繁殖させることができる。
但し稚ガニは、親ガニに比べても特に水質の急変や悪化に弱く、また高水温にも弱く、難易度は高い。