カニ/クロベンケイガニ のバックアップ(No.15)
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[編集]クロベンケイガニ(Chiromantes dehaani)
温帯域の河口域(汽水域)に棲息。アカテガニとほぼ同様の棲息環境に棲み、同所的に群れていることもあるが、本種はアカテガニほど陸棲化が進んでおらず、また塩分依存度もアカテガニより高いのか、河口部では本種の方が隆盛。海から離れるに従って、アカテガニが隆盛になる。
アカテガニやベンケイガニが海近くの森や草叢(アカテガニは海から離れた森の中でも)を住み処とするのに比して、本種は河口域を離れることがない。必ず水路の近くに棲息し、海近くの田圃の用水路や護岸の石垣等で特によく見ることが出来る。
このクロベンケイガニ(Chiromantes dehaani)とサワガニ(Geothelphusa dehaani)は、我国の稲作文化との関連が深いためか(そのため標本が採取しやすかったためか)、シーボルトが日本から持ち帰った標本や図を元に甲殻類を分類した、ライデン博物館のウィレム・デ・ハーン(Wilhem de Haan)の名が学名に献名されている。
黒っぽい地味な体色で、パッと見では小汚いカニだが、鉗脚が渋い紫色で、よく見ると(個人差はあるだろうが)綺麗なカニ。
体色の点では、アカテガニとベンケイガニほどの類似性がないものの、体形的には本種の方がアカテガニに近い。即ち本種の甲外縁には鋭い切れ込みがない。アカテガニとの見分け方は、体色の他、本種の鉗脚基部には粒状突起が散在することと、鉗脚掌部の白い部分の面積が広いことで簡単に見分けが付く。甲部もゴツゴツしているので、すぐに判るだろう。
ペットショップ等で見掛けることはまずないだろう。
食性は植食性の強い雑食で、落ち葉等をよく食べているが、死んだ魚や小動物等も食べているものと思われる。見た目は厳ついがベンケイガニよりも植食性の強いアカテガニと較べても、本種の方がより植食性が強い様だ。
口器の横に溝があり、その溝と脚の付け根に取水孔のある鰓の間を水を循環させて呼吸しているが、水が古くなってくると粘ついて呼吸しにくくなるため、体ごと水の中に入り新鮮な水と交換する。即ち口から泡を出している時は呼吸が苦しくなっている。
脱皮は完全に水の中で行う。
概ね陸域と真水だけで飼育できるアカテガニやベンケイガニに比べ、本種は汽水飼育が基本なので、飼育は難しい部類に入ると言えるだろう。
節足動物門 > 甲殻亜門 > 軟甲綱(エビ綱)> 真軟甲亜綱 > ホンエビ上目 > 十脚目(エビ目)> 抱卵亜目(エビ亜目)> 短尾下目 > イワガニ上科 > ベンケイガニ科 > アカテガニ属
[編集]参考情報
捨ててあるコーヒーのパックにご執心のクロベンケイガニ。厳つい見た目の割には植食性が強く、パックに溜まったデトリタスを紙ごと食べていると思われる。
左上に少しだけ見えている脚はアカテガニで、近づくとコソコソ逃げていったのだが、クロベンケイガニの方は紙パックに夢中で全く逃げなかった。
よほどコーヒーパックが気に入ったのだろうか。
[編集]飼育について
半水棲の、例えばクサガメやイシガメの様に、水を張り上陸用の石を置いた様な飼い方がイメージされがちだが、クロベンケイガニは基本的には干潟や湿地等の陸側で生活するカニで、また、少ない水量の汽水飼育は水質維持の難易度がかなり高いため、図の様な飼育環境の方が飼いやすい。
陸棲とは言え、鰓呼吸なので鰓が乾くと死んでしまう。そのため、カニが体ごと浸かれる水場が必要。また脱皮も水の中でないと行えないので、大きめの水場を常に新鮮な水で満たしてやると良いだろう。
また、水は海水ではなく淡水で良い。時々、ごく薄い人工海水を与えるのも良いだろう。
この水量では濾過装置を使っても生物濾過の効果は期待できない。またコンセントのリードやホース等は脱走の足掛かりになりやすいので、水を定期的に換える方法が飼育しやすい。
魚や水棲のカニの様に、水の中で採餌・呼吸・排泄を行う訳ではないので、水はそれほど汚れることはなく、1週間~2週間に1回程度の換水または足し水でキープは可能。
但し、砂は汚れるので定期的な砂の洗浄や交換が必要。筆者は乾いた砂をストックしておき、1ヵ月に一度程度、表面の砂を新しいものと交換している。(取り出した砂は洗って乾かし、ストックしておく)
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