カエル/シュレーゲルアオガエル のバックアップ差分(No.2)


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#ref(schlegel.jpg,around,50%);
これはシュレーゲルアオガエル('''Rhacophorus schlegelii''')の色変個体です(ウソ)。&br;
このカエル。確かにシュレーゲルアオガエルなのに、コーヒーの様な色。普通は全身が緑色のカエルなんですが、時々こういう色の個体もいて、図鑑でも「色は緑または暗褐色」等と書かれていたりします。
*シュレーゲルアオガエル('''Rhacophorus schlegelii''') [#hfa48174]
#ref(schlegelii.jpg,around,40%);
本州・四国・九州に分布。島嶼では五島列島での分布が確認されるが、奄美大島では代置種(とされる)のアマミアオガエル('''Rhacophorus viridis amamiensis''')が棲息。沖縄等にはシュレーゲルアオガエルの近縁種であり、アマミアオガエルの基亜種であるオキナワアオガエル('''Rhacophorus viridis viridis''')が棲息する。

実は、こいつは田圃の畦の茶色い土の上の、しかも落ち葉が溜まって、要するに周囲がまるっきり茶色い世界で捕まえたもので、つまりは完全な保護色。保護色といえばアマガエルが有名ですよね。アマガエルはどんな図鑑を見ても「周囲の色に合わせて色を変える」等と書いてあるはずですが、シュレーゲルアオガエルに関しては、私の知る限りそう書かれている図鑑を見たことがありません。どうも奇妙です。
和名の由来はこのカエルを新種としたライデン博物館長のヘルマン・シュレーゲルに因むが、筆者の個人的な(偏狭な?)意見としては、我国を代表するアオガエルであるだけに、ニホンアオガエルとして欲しかった。
これについてその筋に軽いノリで質問したことがあるが、種名・学名については国の威信や国民の感情は混乱を与えるだけなので、発見や研究の経緯による名称が良いのだそうで(^_^;)

ちなみに、写真の個体ですが、プラケに入れてしばらく草の上に置いておくとあ〜ら不思議。“普通に緑色のシュレーゲルに”変わっていました⌣
普段は田圃や池沼周辺の森や林の樹上で生活する。従って里山の様な昔ながらの田園風景が広がる場所では多数棲息するが、街中の田圃では姿を見ない。地域によるが春〜初夏が繁殖期で、乾田であれば水入れの少し前ぐらいから田圃周りで盛んに鳴き始め、水入れと共に繁殖活動に入る。
繁殖行動は主に畦の土の中や石の隙間等で行われ、また周囲の草と同色のため(筆者が確認したところでは個体によって周囲の色に体色を合わせ変化させるものもいる)盛んに声はしていても、夜でもなければ姿を見ることは難しい。
同所に本種と姿形も大きさもよく似たニホンアマガエル('''Hyla japonica''')が棲息するので、見慣れていなければ見分けるのは難しい。ニホンアマガエルの方が鼻先が短く(顔を縦に押しつぶした様)、鼻先から鼓膜にかけて黒い線が入るのに対し、本種は緑一色なので見分けることができる。
また、一部地域でモリアオガエルと生息域が重なるが、モリアオガエルの方が二周りほど体が大きい。モリアオガエルの幼体と本種の成体では大きさに違いがないので見分けるのが難しい。虹彩の色(シュレーゲルは金色、モリアオはア紅)で見分けるのが一般的だが、個体差があるため決め手とはならない。

これは私の推測ですが、アマガエルの場合は緑の場所にいれば緑色に、茶色い場所にいれば茶色いカエルに、一様に色が変わるのに比べて、シュレーゲルアオガエルの場合は茶色い場所にいても緑のままのヤツもいるので、「学術的に保護色」とはされていないのではないでしょうか。この個体差が何処で生じるのかは判りませんが、(これも)私の見る限りは背中に斑紋のある個体の方が色を変える傾向が強い様です。
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***参考情報 [#z5949662]
#ref(eggs.jpg,around,25%);
本種の産卵は、夜、土中で行われることが多い。土中に白い泡で包まれた卵を産み、数日でオタマジャクシに孵化した後も泡の中で凄し、雨が降ると田圃等に流れ出していく。
左写真は、産卵から数日経たもので、既に泡の中でオタマジャクシが蠢いているものの雨が降らず、この様な形で残っていた。
モリアオガエルに比べると、かなりリスクの高い繁殖方法の様にも思えるが、本種の方が繁栄しているところを見ると合理的なのかもしれない。少なくとも多くのオタマジャクシが一斉に流れ出す方法は、天敵に対しては有効な対抗手段かも知れない。
#clear();
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***関連リンク [#w4c12ee8]
カエル/世にも珍しい?

#ref(schlegel2.jpg,right,around,50%)
それと、シュレーゲルは典型的な「声はすれども姿は見えず」なカエルなので、検体を集めるのも一苦労。しっかりと研究が進んでいないのかもしれません。&br;&br;
右は参考までに普通に緑色のシュレーゲルです。