ヤドカリ/オオナキオカヤドカリ のバックアップ(No.24)


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[編集]オオナキオカヤドカリCoenobita brevimanus

他のオカヤドカリ属と同様、熱帯域の陸上に棲息。特徴的なのは眼柄で、海棲のヤドカリと同じ様な円筒形の眼をしているため、筆者の様な海ヤド好きならともかく、「ヤドたんって可愛い!」と宣う向きには“気味悪がられる”可能性が高い。
確かに、ムラサキオカヤドカリナキオカヤドカリに比べるとややグロテスクな風貌。
インド−西太平洋に広く分布。我国にも多数生息するが、沖縄本島には、ほとんど棲息しない。

環境省指定の準絶滅危惧種ではあるが、我国での棲息数が著しく少ない訳ではない。絶滅が危惧される主要因は開発等による棲息環境の減少・悪化と推測される。
インド洋全域ではもっとも普通種であり、これを「激レア」、「超希少」と称するのは明らかに誤り。意図的に称する業者があった場合は疑うべし。流通ルートでの入手困難度合い*1を「レア」と称し、しかも価格に反映するなど以ての外。仁義に悖る。

市場には上記2種のマジリで流通する可能性がある*2。但し棲息環境が全く違うので弱齢個体以外のマジリは正規ルートでは考えにくい*3。同じ理由で飼育環境は上記2種とは違うことだけは判っているが、詳細は不明。
また我国外には多量に棲息しており、希少価値は皆無。安価な外国産オカヤドカリ扱いで、植物防疫法で輸入禁止(例外なく没収・殺処分)されていることを知らずに入荷する業者が後を絶たない。

節足動物門 > 甲殻亜門 > 軟甲綱(エビ鋼)> 真軟甲亜綱 > ホンエビ上目 > 十脚目(エビ目)> 抱卵亜目(エビ亜目)> 異尾下目 > ヤドカリ上科 > オカヤドカリ科 > オカヤドカリ属

環境省指定:準絶滅危惧(NT*4


[編集]参考情報

さすがの文化庁もオオナキオカヤドカリに対する監視は非常に厳しいという情報あり(一見して他のオカヤドカリとは見た目が違うためもあるか)。沖縄本島では非常に個体数が少ないこともあり、許可業者による採集は物理的にほぼ不可能。


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[編集]オカヤドカリの飼育方法

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[編集]追記

オオナキオカヤドカリを「希少」と称して高値で売っている業者が現実に存在するそうなので追記した。
レアでもないものをレアモノ扱いすることは、他のオカヤドカリ属にも甚大な被害を与える。少し昔の“オオクワガタ高騰現象”を思い出して欲しい(但しオオクワガタは本当にレアだったが)。
陰黠な業者と無責任なマスコミが煽った妙な狂乱物価の所為で山に何が起きたか。人心が荒廃したことはもちろん、当事者のオオクワガタよりも別種のクワガタや他の昆虫たちこそ甚大な被害を蒙った。

オオナキオカヤドカリが別種のオカヤドカリよりも高く売れた場合、もともと採取制限があるオカヤドカリたちに何が起こるかは想像に難くない。現地でレアモノ探しが始まれば、大量に捕獲されレアでないものが廃棄されることは目に見えている(レアモノに血眼になるモグリの採り子が元の場所へ還しに行く労をとるとは思えない)。
結果、全てのオカヤドカリ属が絶滅の危機に瀕することになる。
件の業者が値段を吊り上げているのは、ひょっとするとヤラセかもしれない。かなり仁義に悖るSEOやセコイSEMを繰り返している様子なので、これもその一環ではないだろうか。そこまで低能な消費者がいるとは普通では考えられない。
が、中には釣られる素人もいるかもしれない。騙されて価値もないものを高値で買わされる馬鹿者には全く同情しないが、我国の貴重な生態系は、恥を知らぬ悪者の僅かばかりの日銭のためにズタズタにされるべきではない。

悪が勝利するためには善良な人たちが何もしないこと。というアメリカのことわざ(?)があるが、上記の場合はさしずめ「善良な馬鹿者に金を持たせれば国が危うい」ということになろうか。勝者はいない。


*1 沖縄本島にオオナキオカヤドカリは、ほとんど棲息しておらず、一方で天然記念物であるオカヤドカリ属全種の採取を、特例として許可されている業者は沖縄本島にしか存在しない。
*2 数年前、他島からの船舶のキール水=バラスト水のことと思われる=によって幼生が運ばれてくるということを主張していたネット販売業者があるが、確率としては、普通に潮流に乗って運ばれてくる無効分散型よりもあり得ないレベルである
*3 無効分散型、あるいはそれより確率は低いが、バラスト水によって運ばれてくるものは、成体ではなくゾエアまたはグラウコトエであり、上陸し成長した暁にはムラサキオカヤドカリナキオカヤドカリとは棲息範囲が異なる。また繁殖期も異なるので、自然状態で2種に混じる可能性はほとんどない
*4 NT=Near Threatened=存続基盤が脆弱(現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する可能性がある)