ヤドカリ/ホンヤドカリ

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[編集]ホンヤドカリPagurus filholi

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典型的な北方起源*1ヤドカリで右鉗脚が大きい。
我国の磯を代表するヤドカリの一つ。太平洋側でも日本海側でも高潮帯から低潮帯にかけて普通に見られる。タイドプールでもごく普通に見られる。岩礁地帯だけではなく礫底海岸やゴロタ浜でも見られるが、砂地では見られない。
国防色の冴えない体色。
北海道から九州の温帯域に広く分布。

一般に海棲ヤドカリの飼育は容易で、海水魚が長期飼育できる程度の環境さえ整っていれば2、3年は維持できる。本種も同様で強健な種類だが、魚等の鈍感な生き物に比べると水質悪化や水質の急変に弱い。またオカヤドカリ等に比べると非常に大食漢であるため、魚の残餌だけを与えていたのではすぐに姿を消す。ライブロックに生える石灰藻などを摘んでいるが、水槽面に生える藻(通称コケ)を食べることはない。

産卵期(真冬〜初春)に雄が雌を貝殻ごと持ち運ぶ様(通称:鞄ヤドカリ)が有名。持ち運ぶ際は左の小鉗脚を使い、右大鉗脚は同種間の雌争奪戦に使用する。

節足動物門 > 甲殻亜門 > 軟甲綱(エビ綱)> 真軟甲亜綱 > ホンエビ上目 > 十脚目(エビ目)> 抱卵亜目(エビ亜目)> 異尾下目 > ホンヤドカリ上科 > ホンヤドカリ科 > ホンヤドカリ属


[編集]飼育について

ホンヤドカリは海水浴に行くような海岸でも岩場に行けばウジャウジャいるため、ファミリーで海水浴へ行った際の、子供の格好の遊び相手になる。子供が「家に持って帰りたい」と言い出すこともあるだろう。
その場合、特に大掛かりな飼育設備を使用しなくても、とりあえずならプラケースで飼育することが可能。

  • 中サイズぐらいのプラケースを使用。(¥1,000ぐらい)
  • 2センチぐらい底砂を敷く。細かい砂が良いが、大磯砂でも熱帯魚用のセラミックサンドでも川砂でも海砂でもサンゴ砂でも何でも良い。
  • 隠れ家 兼 緊急避難場所として石等で陸地部分を作る。(普通は陸には上がらないが、水質が悪化している時など避難することがある)
  • 水は、人工海水を、カルキを抜いた水に溶き、比重計の目盛が1.020以上1.023以下であることを確認してから入れる。ケースの高さによるが15~20センチぐらいまで入れた方が良いだろう。
    • 人工海水は海水魚を扱っているペットショップで購入可能。最近ではAmazonにも複数あるので、入手は容易。
    • 比重計も同様。
    • 食塩(粗塩や、天然塩や自然塩と商品名にうたっているものも含む)を水に溶いても海水とは全くの別物なのでNG。比重:濃度も違うので一時的な代用も不可*2
    • 比重計の浮きに気泡が付いていると海水濃度が正しく測れないため、比重計に作った人工海水を入れ、10分ほど置いてから目盛を確認すると良い。
  • エアポンプで海水中に空気を送ってやる。ホースの先はエアストーンでも良いが、水作等の投げ込み式のフィルターに繋ぐのも有効。
    • エアポンプや水作もペットショップやAmazonで入手可能。
    • 海水にエアポンプを使うと塩ダレが生じるので、電化製品やコンセントタップの近くに置くのは止めた方が良い。
    • エアポンプのコンセントタップは飼育ケースよりも高い場所に置く。無理ならコンセントコードをU字に垂らし、コンセントタップに直接水が垂れない様にする。
  • 餌は1~2日置き。夏場や冬場は1週間に1回程度。市販の海水魚の餌(沈下性のもの)等を少量与える。
    • 時々、人間用のシラス等も与えて良いが、食べ残したものは速やかに取り出すこと。
  • 水は季節によるが、一週間置きに換える。水作等を使用していれば2週間置きの換水で概ねはOK。但し換水とは別のタイミングで、1か月に一回程度、濾材(スポンジ)を洗う必要がある。

最終的には、通常のマリンタンクへ移行することが望ましいが、当座の飼育方法としてなら、この種類のヤドカリは飼うことができる。但し、あまり多くの匹数を入れると水の劣化も早いので、少なめでの飼育がお勧め。
マリンタンクの作り方や硝化バクテリアの働きについて興味があれば、「海水魚飼育」でGoogle検索することをお薦めする。(字数が多くなりすぎるので、ここでは触れない)


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*1 寒海起源とも言う=寒海性のヤドカリの祖先から分化した種。北方起源と南方起源は、それぞれ別の祖先から収斂進化し、似た形質を持ったとする説もある。
*2 詳細はオカヤドカリのトンデモ飼育法「塩の話」を参照のこと