カニ/ズワイガニ
[編集]ズワイガニ(Chionoecetes opilio)
北太平洋全般に広く分布する。ベーリング海のカニ漁で知られるのは本種とタラバガニ。我が国では日本海側に棲息するものが有名で、松葉ガニ、越前ガニ等と称するものは本種の地域ブランド名である。
水深200m以深の低水温域に棲み基本的にはなんでも食べるが、この深度では植物性の餌は限られるため、食性は肉食性の強い雑食。海の底に沈んでくる生き物の死骸やその成れの果てのデトリタス等を常食しているものと思われる。
甲幅は♂では(漁獲サイズで)12~3cmほどだが、脚が長く迫力がある。我が国では水産上最も重要なカニで、特に関西では非常に好んで食される。濃厚な出汁が出るので鍋にしても良し、身が詰まり甘いので刺し身や焼きガニ、ゆでガニ等、どう料理しても美味い。
♀は♂の半分ぐらいの大きさで身の入りも少ないためセコガニと呼ばれて、産地で地場消費されることが多い。♂同様に濃厚な出汁が出るので味噌汁にして美味。
水産上重要な種類のためか、カニの中では我が国で最も生態の研究が進んでいる。
ゾエア期、メガロパ期を経て稚ガニとなり、概ね10年程度で成熟する。それまでに10~13回程度脱皮を繰り返し*1、最終齢に達するとそのまま脱皮をせず寿命まで数年間を生きる。
甲にカニビルがたくさん付着しているものが美味いとされるのは、最終脱皮を終えて生き続ける=脱皮をぜず身が詰まっているからということもあるのだろう。
但し、カニビルが付着しているしていないは都市伝説レベルらしい。
飼育は困難。脚を広げると60cm以上にもなるので、水深1m以上の水槽が必要。水温は3℃以下に保つ必要があるので業務用冷蔵庫レベルの強力なクーラーでもなければ飼育できないため、一般家庭ではまず無理だろう。
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*1 ♀のズワイガニは11齢で最終脱皮を終えるとされる