カニ/スベスベマンジュウガニ

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[編集]スベスベマンジュウガニ(Atergatis floridus

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インド-西太平洋に広く分布。日本では房総以南の太平洋側で見られる。
名前の通りスベスベでマンジュウの様に丸いカニ。体色は褐色~暗紫色。鉗脚の付け根や歩脚や甲外縁が見るからに毒々しいシアン色を呈していることがあり、背中にも独特の斑紋が入る。鉗脚の指節は黒い。

外洋に面した磯の潮間帯下部から潮下帯にかけて、入り組んだ岩や石の隙間に棲息。潮が引いた陸地でもウロウロしているオウギガニに比べ、本種が陸上に上がることはまずない。
岩礁の磯で大量に蠢くオウギガニ科のカニの中にあって、本種は一際体が大きくよく目立つのだが、警戒心が強く動きも素早いため、磯観察では見逃すケースが多いと思われる。
オウギガニに比べると生息密度は低いが、少ないという訳でもなく、注意深く探せば発見は容易。

スベスベマンジュウというユニークな和名と、食べれば死に至る猛毒を持つことで、あまりにも有名なカニで、磯の危険生物に列挙されていたりするが、食べなければ特に危険なことはなく、また、見るからにオドロオドロしい色合いや模様から、普通は食べようと思わない様で、被害者は未だ存在しない。
鉗脚の力が強く、しかも大きいため、挟まれるとケガをする恐れはあるが、臆病なカニなので、素手で弄んだりしない限りは挟まれることもない。
軽く触れただけで病院送りのイラモ、刺されると長期通院が必要になることもあるガンガゼ、噛まれると死に至る可能性もあるヒョウモンダコやオオマルモンダコ等と本種を同列にするのは行き過ぎだろう。

フグとは違い内蔵には毒はなく、外骨格や脚部の筋肉に含まれる。毒の種類はテトロドトキシン(細菌由来とされるフグ毒)やサキシトキシン(渦鞭毛藻由来の麻痺性貝毒)など複数が知られている。
食性は肉食性が強く、巻貝や海綿、その他の付着生物等を、強力な鉗脚で岩肌から引き剥がして食べている。
温帯域ではヤツデヒトデと同所的に見られるので、巻貝は特に好んで食べている様だ。写真の個体も巻貝を岩から引き剥がそうと暴れている瞬間を撮ったもので、この習性から考えると、恐らくはムシロガイ科の巻貝等が持つテトロドトキシンを生物濃縮することにより、毒を獲得しているのではないだろうか。
従って、棲息環境によっては無毒な場合があるかもしれず、また養殖によって“無毒のスベスベマンジュウガニ”を作出することは可能だと思われるが、食べて美味いとも思えないので、わざわざ食べない方が無難だろう。

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