カニ/ジャノメガザミ
[編集]ジャノメガザミ(Portunus sanguinolentus)
インド-西太平洋に広く分布。日本では東京湾以南で見られるが、やや南方系なのか関東では少ない。
典型的なガザミ体型をしているが、甲部後方に3つの蛇の目模様が入ることで、ガザミやタイワンガザミとは区別がつく。
内湾の砂地の10m以深に棲息するが、写真の様な若い個体は浅瀬にも進出し、岩礁の磯で見られることもある。
第五脚(第四歩脚)は遊泳脚(指節がヒレの様に平たい)になっているため、カニにしては上手く泳ぐことができる。
動きが素早く気の荒いカニで、鉗脚のギザギザも鋭利で挟む力も強いため、素手で捕まえようとすると大怪我をする恐れがあるので、捕獲の際は注意すること。
ガザミと言えば、昔はズワイガニ等に比べて味が落ちると言われたこともあった。脚の身が少なく食べにくいこともあってだろうが、安い食用ガニ扱いだったのだが、1980年代後半辺りにシーフードレストランやエスニック料理などが我が国に定着した頃から、「ワタリガニのナンタラカンタラ」等と、凝った名前のメニューで供される様になり価値が上がった。殻の薄いワタリガニは茹でて身をほぐしたりするより、殻ごと調理する方が食べやすいためもあるだろうか。
本種はレストラン等で一般に供されるワタリガニ(ガザミやタイワンガザミ)に比べると一回り小さく、そのためか市場にはこの2種より安値で出回り、時には「味が一段劣る」とされることもあるが、そんなことはない。ガザミやタイワンガザミと較べて遜色はなく、非常に美味なカニだが、確かに食べにくく歩留まりが悪い。
そのため「安い=味が落ちる」の法則が働き、「味が劣る」とされたのではないだろうか。
筆者は一度だけエスニックレストランで、小ぶりの「ナンタラカンタラ」でしか食べたことがないが、身の甘さに舌鼓をうった。
味噌汁にしても非常に美味であろうと思われるので、安く出回っているものを見つけたら買おうかどうか迷うところだ。
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