カエル/シュレーゲルアオガエル
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[編集]シュレーゲルアオガエル(Rhacophorus schlegelii)
背中側全体が緑色~黄緑色の絵に描いたようなカエル。背中に黄色の斑紋がでる個体もいる。本州・四国・九州に分布し、島嶼では五島列島での分布が確認されるが、奄美大島では代置種*1のアマミアオガエル(Rhacophorus viridis amamiensis)が棲息。沖縄等にはシュレーゲルアオガエルの近縁種*2であり、アマミアオガエルの基亜種*3であるオキナワアオガエル(Rhacophorus viridis viridis)が棲息する。
また、八重山諸島(石垣島と西表島)に棲息する、オキナワアオガエルの亜種とされていたヤエヤマアオガエル(オーストンアオガエル)は、2004年に独立種として記載された。
和名の由来はこのカエルを新種としたライデン博物館長のヘルマン・シュレーゲルに因むが、筆者の個人的な(偏狭な?)意見としては、我国を代表するアオガエルであるだけに、ニホンアオガエルとして欲しかった。
これについてその筋に軽いノリで質問したことがあるが、種名・学名については国の威信や国民の感情は混乱を与えるだけなので、発見や研究の経緯による名称が良いのだそうで(^_^;)
普段は田圃や池沼周辺の森や林の樹上で生活する。従って里山の様な昔ながらの田園風景が広がる場所では多数棲息するが、街中の田圃では姿を見ない。地域によるが春〜初夏が繁殖期で、乾田であれば水入れの少し前ぐらいから田圃周りで盛んに鳴き始め、水入れと共に繁殖活動に入る。
繁殖行動は主に畦の土の中や石の隙間等で行われ、また周囲の草と同色のため(筆者が確認したところでは個体によって周囲の色に体色を合わせ変化させるものもいる)盛んに声はしていても、夜でもなければ姿を見ることは難しい。
同所に本種と姿形も大きさもよく似たニホンアマガエル(Hyla japonica)が棲息するので、見慣れていなければ見分けるのは難しい。ニホンアマガエルの方が鼻先が短く(顔を縦に押しつぶした様)、鼻先から鼓膜にかけて黒い線が入るのに対し、本種は緑一色なので見分けることができる。
また、一部地域でモリアオガエルと生息域が重なるが、モリアオガエルの方が二周りほど体が大きい。モリアオガエルの幼体と本種の成体では大きさに違いがないので見分けるのが難しい。虹彩の色(シュレーゲルは金色、モリアオは紅)で見分けるのが一般的だが、個体差があるため決め手とはならない。
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[編集]参考情報
本種の産卵は、夜、土中で行われることが多い。土中に白い泡で包まれた卵を産み、数日でオタマジャクシに孵化した後も泡の中で凄し、雨が降ると田圃等に流れ出していく。
左写真は、産卵から数日経たもので、既に泡の中でオタマジャクシが蠢いているものの雨が降らず、この様な形で残っていた。
モリアオガエルに比べると、かなりリスクの高い繁殖方法の様にも思えるが、本種の方が繁栄しているところを見ると合理的なのかもしれない。少なくとも多くのオタマジャクシが一斉に流れ出す方法は、天敵に対しては有効な対抗手段かも知れない。
[編集]関連記事
[編集]関連リンク
*1 先祖は同じ生き物だったのが島嶼などの孤立した環境で別の進化をしたもの。
*2 進化の過程において、共通の先祖から枝分かれした時期が浅いもの。
*3 別種として独立させるほどの相違点はないが、同種ではないものを亜種と云い、生物分類学上の明確な基準はない。