十脚目通信

常設&移動水族館「魚はいません」設立計画

○はじめに
ペット飼育を取り巻く現状は、とても短絡的で刹那的な思考に支配されています。特に、動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)の対象にならない生き物において、その傾向は顕著です。

甲殻類や両生類などの生き物は、「癒し系」「飼育が簡単」等の根拠の無い甘言によって、間違った需要を喚起され、また繁殖期に大量に捕獲することが可能なため、大量生産の消耗品以下の酷い売り方をされています。
生体販売だけではなく、「自称専門店」や「自称専門メーカー」によって、生き物の(一般常識レベルの)生態が解っているとは到底思えない、適当な汎用品のパッケージだけを変えた様な「専用品」や「簡単飼育セット」が、ペットショップ等に溢れています。
専門店や専用品のあほらしさ加減については「オカヤドカリのトンデモ飼育法」をご覧ください。
もちろん、供給側だけに問題がある訳ではありません。
飼育者(消費者)側にも、難しいことを勉強したり、ややこしいことを考えたりしながら「最後まで責任を持って飼う」よりは、「供給側の甘言」を疑わず、(煽てられて)言われるがままに、「死んだら次、死んだら次」と売上に協力する方が楽だと考える方も多いのです。
あまつさえ「よく考えずに衝動買い」し、「飽きたら捨てて」また、次々と別の生き物を犠牲にする飼育者も少なくないのです。

そろそろもっと長い目で“飼育”というものを捉えましょう。
ただでさえ減っている生き物です。また我国の自然環境も悪化の一途を辿っています。飼育生物の乱獲と放逐によって更に環境破壊は加速しています。
このまま、短絡的で刹那的な“飼育文化”が氾濫すれば、近い将来、必ず「誰も何も飼えない」時代が来てしまいます。「野外で何も生き物が見られない」時代も、そう遠い未来ではありません。
十脚目通信は、この様に絶望的な未来を、少しでも先に延ばすために努力をしたいのです。せめて、今の子供たちが大人になる頃にも「そこら辺の生き物を捕まえて飼える」文化が成り立っている様、正しい飼育文化を醸成したいのです。

ペット産業に携わる企業にも、志の高い企業は存在するはずです。研究と知識を下地に、正しく生き物を飼育できる器具を開発しようという企業もあるはずです。
飼育者の中にも、志の高い方は大勢いるはずです。知識と経験と技術を持ち、自然の恵みを無神経に貪るのではなく、飼育を通して自然環境への並々ならぬ関心をお持ちの方も大勢いるはずです。
正しい企業が報われる市場を、心ある人々が認められる飼育文化を、醸成することによって、我国の環境保全に繋げられると考えます。
正しい企業や、心ある人々の梁山泊になる様な、「癒し系」商品ではなく、本物の生き物や自然によって癒される“ナチュラリスト”の拠所となる様な、水族館を設立したいと思います。

スローガンだけではなく、本気で「環境」や「地球」や「自然」をテーマにしようという企業があるのなら、イメージ広告ではなく、本気で「子供の夢」や「未来」をコンセプトにしようという企業なら、商品や産業のジャンルを問わず、是非とも『Deca-J水族館』にご協力ください。
○コンセプト:珍しい生き物のいない水族館
身近な生き物と人との触れ合いをテーマにする水族館ですから、綺麗な魚が泳ぎまわる“普通の水族館”ではありません。もちろんイルカやアシカのショーはありません。
また、個人が個人宅で飼育できる生き物を対象としますので、特殊な環境に生きる生き物や、特別な食性・習性を持つ生き物もいません。

普通に、少し足を延ばせば目にできる様な生き物を、その生き物の棲息環境に(個人でも可能な範囲で)できるだけ近づけた水槽等で展示します。
また、病気その他の理由で、当館にお越しいただけない方のため、あるいは学校等の施設からの依頼があった場合には、移動水族館の準備もしておきます。
○事業概要(R&D)
営利目的の展示施設ではなく、飼育者の啓蒙と正しい飼育情報の提案を行います。
生き物の展示で、その生き物個々の飼育環境の提案を行うとともに、図鑑・飼育マニュアル等の情報頒布も行います。また、その過程で発見した研究開発の成果物は、研究団体や環境保護活動団体、および飼育生物販売者団体等へ還元します。(注:生き物そのものの譲受け・譲渡しは行いません)

また、百聞は一見に如かず。実際のフィールドへ飛び出し、生き物の棲息環境を自らの目で確認し、(ここが他の公共施設等と大きく違う点ですが)自らの手で採取し、自ら飼育するという“飼育者としての全て”を一貫して指導できるツアーを企画し、将来の我国の環境保全を担うべきナチュラリストの育成を図ります。

○施設概要(お品書き=予定)

    常設潮騒館 :
  • 海の中のカニ・エビ・ヤドカリ、磯辺のカニ・エビ・ヤドカリ、、淡水域のエビ・カニ、砂地のカニ、森のカニ、南の島の甲殻類  等
    常設里山館 :
  • イモリ、サンショウウオ、カエル、淡水域のエビ・カニ、南の島の両生類 等
    移動水族館 :
  • 磯辺のカニ・ヤドカリ、淡水域のエビ・カニ、森のカニ、南の島の甲殻類 等
    イモリ、サンショウウオ、カエル、南の島の両生類 等

○飼育生物目録

    エビ(海)
  • イソスジエビ、アシナガスジエビ、スジエビモドキ、サラサエビ、オトヒメエビ、イソテッポウエビ、テッポウエビモドキ等
    エビ(淡・汽)
  • ヌマエビ、ヌカエビ、スジエビ、テナガエビ等
    エビ(南)
  • アカシマシラヒゲエビ(スカンク)、ヤイトサラサエビ、イソギンチャクモエビ、ショウグンエビ等
    カニ(南)
  • イワオウギガニ、キンチャクガニ等
    サンショウウオ
  • エゾサンショウウオ、トウホクサンショウウオ、クロサンショウウオ、トウキョウサンショウウオ、カスミサンショウウオ
○以上の生き物たちは
一部を除き当館独自で採取を行います。採取の際に棲息環境他を撮影し、図鑑を発行します。また常設水族館での飼育研究結果を飼育マニュアルとして発行します。
当然のことですが、希少種・絶滅危惧種等の生体の展示は、特別な場合を除き行いません。

テーマについての詳細、及びテーマ水族館の(施設含む)青写真が出来ていますので、「The Theme of Deca-J水族館」を併せてご覧ください。
その他、「もっと良い案があるよ」等のご意見や、「こんなのが欲しい」等のご要望は、常設&移動水族館「魚はいません」ご意見板へご意見ください。